パラバドミントン — 2017/1/30 月曜日 at 12:12:31

初の試み! 日本チームが強豪インドネシアと合同トレーニングキャンプを実施

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バドミントンクリニックに参加した子どもたちと写真におさまる両国の選手たち=町田市立総合体育館

バドミントンクリニックに参加した子どもたちと写真におさまる両国の選手たち=町田市立総合体育館

パラバドミントンの日本代表が28日から町田市立総合体育館で合宿を行っている。今回は、強豪国インドネシアとの合同トレーニングキャンプで、日本チームがインドネシアを招待して実現した。インドネシアからは立位クラスの選手8人、監督・コーチ2人が参加している。2月1日まで行われる。

多くの子どもたちが参加したクリニック。インドネシア語での挨拶も教わるなど交流を深めた

多くの子どもたちが参加したクリニック。インドネシア語での挨拶も教わるなど交流を深めた

初日には、地元の子どもたちにバドミントンクリニックを実施。両国の選手らがデモンストレーションと指導を行った。

多くの子どもたちが、パラバドミントンの選手を見るのは初めてだといい、町田市立町田第二中学校バドミントン部の中学一年の男子生徒は、「いろんな障がいの選手がいることがわかった。どの選手も本当にうまくてびっくりした」と興奮した様子。また、別の男子生徒は「車いすや義足の選手も諦めずに最後までシャトルを追っていた。自分も頑張ろうと思った」と話し、充実した表情を見せていた。また、日本の選手からも「パラバドミントンを子どもたちに知ってもらういい機会になったと思う」との声が挙がっていた。

インドネシア流のトレーニング方法にも注目

パラバドミントンは障がいの程度に応じて、6つにクラス分けされている。今回、インドネシアは下肢に障がいがあるSL3、SL4、上肢に障がいがあるSU5クラスの選手を派遣。昨年11月のアジア選手権大会SU5クラスの男子シングルスを制したスルヨ・ヌグロホ、2014年インチョンアジアパラ競技大会SL3クラスの男子シングルス金メダリストのウクン・ルカエンディらも参加しており、世界トップクラスの練習方法やプレーに注目が集まった。

日本の立位クラスの選手が海外勢と合同トレーニングキャンプを行うのは初。ライバルたちの試合とはまた違う球質などを体験できる機会とあって、「新鮮で勉強になる」と女子SU5クラスの豊田まみ子は話す。

ヌグロホ(右)と練習した今井。刺激を受け、「次の目標は、世界で一番強い彼に勝つこと」(撮影/荒木美晴)

ヌグロホ(右)と練習した今井。刺激を受け、「次の目標は、世界で一番強い彼に勝つこと」(撮影/荒木美晴)

男子SU5クラスの今井大湧は、アジア選手権決勝でヌグロホに敗れて準優勝だった。今回、そのヌグロホとともにシャトルを追い、「彼は身体が柔らかくしなやか。追い込まれても体幹がブレないので体力の消耗も少ない。自分が苦手な後方のバックハンドの処理も彼は引き出しが多く、とても参考になる」と語る。また、同じクラスの正垣源は、「(インドネシアの)メニュー自体は珍しいものではないが、最初のストレッチでとくに肩回りや首回りなど上半身を入念にほぐしていたのが印象深い。あのしなやかなラケットワークやタッチは、こうしたトレーニングが生きているのかも」と冷静に分析していた。

母国で英雄のパラアスリートたち

インドネシアの国技はバドミントン。「もともと競技が盛んな国だけに、パラバドミントンの選手にもスタンダードなものがしみ込んでいる感じ」と、強化担当の喜多努コーチは語る。

ハリ・スサントによると、今回来日した選手のほとんどが公務員として働きながら競技に取り組む「プロのようなもの」だという。一般のナショナルチームの選手の本拠地と彼らの拠点が離れているため、物理的に一緒に練習をすることは難しいそうだが、「いつでも来てよいと言われているよ」。

練習の合間も積極的にコミュニケーションを図る姿が印象的だった

練習の合間も積極的にコミュニケーションを図る姿が印象的だった

また、ウクン・ルカエンディは「我が国では、僕たちは健常者の選手と同様に、子どもたちから憧れられる存在なんだ。もしかしたら、それ以上に注目されることもあるかもしれないね」と、インドネシアならではの環境について教えてくれた。

3年後の東京パラリンピックから実施競技に採用されるパラバドミントン。参加者枠や実施クラスはまだ決まっていないが、選手たちは出場を信じて日々研鑽を積んでいる。日本では9月に今回と同じ町田市立総合体育館で初めての国際大会が開催される予定。バドミントンのスピードや駆け引きといった魅力はそのままに、クラスごとのプレーの特徴などパラバドミントンならではの魅力に触れる絶好の機会になる。ぜひ会場に足を運び、選手たちの雄姿を目撃してもらいたい。

(取材・文/荒木美晴、撮影/佐山篤)