2018平昌パラリンピック, パラアイスホッケー — 2018/3/14 水曜日 at 15:42:40

【Writer’s eye】パラアイスホッケー「おやじ軍団」は大苦戦。残り試合で意地を見せろ

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グループリーグ3試合で唯一の得点を挙げた高橋和廣=江陵ホッケーセンター(写真:フォトサービス・ワン/植原義晴)

平昌パラリンピックのパラアイスホッケーは13日、1次リーグの最終戦で日本がチェコに0-3で敗れた。すでに第1戦の韓国に1-4、第2戦のアメリカに0-10で屈していた日本は、グループB最下位の4位となった。今後は14日のプレーオフでグループA3位のノルウェーと対戦し、ここで勝てば16日の5-6位決定戦に、負ければ7-8位決定戦へと進む。

日本は序盤、守りを固めて無失点で第2ピリオドへ。しかし、日本のペナルティが解けた直後にポジションが崩れて失点すると、第3ピリオドにもパス回しで守備を乱され、追加点を許した。最後はGKを上げて6人攻撃に賭けたが、ここでもパックが手につかず、こぼれたところを拾われて、ダメ押しの3点目を献上した。

チェコ戦の得点力でも課題が残った。座った状態とはいえ、身長190cmを超えるチェコのGKバペンカをゴール前で左右に揺さぶる作戦で臨んだが、横へのパスにフォーカスしすぎて、シュートの手数が減少してしまった。カウンターでゴール前に攻め上がる決定的な好機でもシュートを決めきれず、またパスの相手を探してパックの手離れが悪くなったところを相手に読まれてカットされるなど、試合勘に欠けるプレーが目についた。

1次リーグの3試合で、日本の得点はわずかに「1」。追い上げ型ではない日本の場合、勢いに乗るためには先制点がほしいところだったが、その思いとは裏腹に、シュートへの意識の低さ、最後の詰めの甘さを露呈してしまった。

1次リーグを振り返ると、カギとなったのはやはり初戦の韓国戦だ。陣形を変えながら相手のエース、チョン・スンファンを警戒。守りに徹した序盤は、そのシステムが機能した。しかし、ほぼ2セット回しの日本は徐々に疲れが蓄積し、カウンターで先制点を許すと焦りからミスを連発。5人対3人のパワープレーという最大のチャンスでもリズムを作り切れず、ノーゴール。たまらず観客からもため息が漏れた。

一方で、収穫がなかったわけではない。前述のとおり、アメリカ戦を除く2試合では、試合の入り方は悪くなかった。韓国戦では、試合終了間際にゴール裏からつないだパックを上原大祐(NEC)がシュートし、相手ディフェンスに当たって跳ね返ったところをゴール前に詰めていた高橋和廣(西東京市役所)が左手で押し込んで、1点を返した。完全アウェーのなかで、最後に泥臭く執念の1点を入れたことは、次へのモチベーションにつながった。

また、今大会はスタメンマスクを被る61歳のGK福島忍(ニック)が韓国戦、チェコ戦で高い集中力でファインセーブを連発した。ソフトゴールを許す場面もあったが、波に乗り切れないプレーヤーを最後列から奮い立たせている。

プレーオフに向けて上原は、「我々はパラリンピックで5位以下をとったことがない。そのラインは絶対に守りたい」と語気を強めた。

大会全体に目を移すと、以前は個の能力に長けた絶対的なエースがいて試合を引っ張るというチームが多かったが、今はどこも総合力が高まっていると感じる。同じアジアの韓国は前述の通り、スピードのあるチョン・スンファンがチームを牽引するが、敵からの徹底マークはもちろん織り込み済みで、他の選手のフォローが早い。そこは日本も試みてはいるが、精度の違いが結果に表れた格好だ。

また、パラアイスホッケーは両足や片足があるより、ないほうが有利に働くとされている。足を載せるスレッジの長さが短くなる分、素早い方向転換が可能になり、風の抵抗も受けにくいからだ。

たとえば優勝候補のアメリカの場合、氷上の5人のプレーヤー全員が両足切断のときもある。その意味では、大腿部から両足切断の選手がほとんどいない日本の場合は不利となるが、それでも平均年齢41歳の男たちは経験値でカバーしてきた。大会は後半に差し掛かり、疲れもピークに達しているだろうが、残された2試合では、日本の意地を見せてほしい。

大会の上位チームは、1次リーグ3連勝と盤石の強さを見せたカナダとアメリカが準決勝に進出している。また、イタリアと韓国もそれぞれ初となる4強を決めた。

イタリアは組織力で試合を組み立て、1次リーグ初戦で強豪ノルウェーに勝利したことで波に乗った。韓国も地元の大声援を力に、大きなプレッシャーもあっただろうが、それに打ち勝ち、道を切り拓いた強さは本物だ。15日に行なわれる準決勝にも注目してほしい。

(取材・文:荒木美晴、写真:フォトサービス・ワン/植原義晴)

※この記事は、『Sportiva』からの転載です。