陸上 — 2013/9/9 月曜日 at 13:20:43

樋口が4冠達成! 2013ジャパンパラ陸上競技大会が閉幕

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男子1500m(T53/54)で優勝した樋口政幸の走り=維新百年記念公園陸上競技場/撮影:吉村もと

9月7日・8日に山口市の維新百年記念公園陸上競技場にてジャパンパラ陸上競技大会が開催された。トップ選手の多くは7月にIPC陸上世界選手権(リオン)を終えたばかり。他の大会への出場や2020年東京オリンピック・パラリンピック開催都市決定イベントのため、不出場の選手もいたが、知的障害・視覚障害を含むクラスで、14の日本新記録が生まれた。

好調の樋口が圧巻の走り

ロンドンパラリンピック日本代表の樋口政幸(T54/Baristride)は、IPC陸上世界選手権の5000mで銀メダル、1500mで銅メダルを獲得し、波に乗る。今大会はトラック種目の5000m、800m、1500m、400mの4種目に出場し、すべてのレースを制した。天候に恵まれた2日目の1500mでは、記録更新を狙ってレースに挑んだが、競技場特有の重いトラックに泣き、記録更新ならず。「1・2周目はいいペースで走れたけれど、最後にトラックの重さが響いた」と悔しがった。大会を振り返って「世界選手権の後、一度気が抜けたけれど、4冠を取れてよかった」と続けた。目標は、2016年リオパラリンピックでのメダル獲得。世界を見据えて、さらなる強化を図る。

200mで大会新記録をマークした山本

IPC陸上世界選手権・走り幅跳び金メダルの山本篤(スズキ浜松AC)は、200m(T42)で26秒66をマークし、自身が持つ大会新記録を更新したものの、期待された走り幅跳び(F42)は5m74に終わった。「フォームが崩れ、義足が先に着地してしまった。それが修正できれば、6mは跳べる」と話す。今後はオランダで開催される国際大会に出場予定だ。

T53クラスの800m、400mで優勝したベテランの廣道純(プーマジャパン)は、「重いコースにしてはまぁまぁのタイム」とレースを振り返った。T54と合同で行われた1500mは序盤の混戦で接触があったこともあり、トップの樋口に差をつけられた。しかし、レース途中に2位狙いに切り替えるなど、経験豊富な廣道ならではのレース展開を見せた。

ロンドン後、初の公式戦に臨んだ鈴木

一方で、ロンドンパラリンピック以来1年ぶりの復帰を果たした選手もいる。義足のハイジャンパー鈴木徹(F44/プーマジャパン)だ。ロンドン後、なかなか気持ちが上がらず、またケガもあり、公式戦の欠場を続けていたが、仲間の世界での活躍に刺激を受け、復帰できたという。「久しぶりの跳躍で、不安があった」と話すが、1m90をマークし、試合後、ほっとした表情を見せた。

400mで力強いスタートを見せた渡辺

今大会は、伸び盛りの若手選手も存在感を示した。初出場のIPC陸上世界選手権1000mで銀メダルを獲得した渡辺勝(T54/TOPPAN)は、400mで2位に。2011年に交通事故により受傷し、競技を始めたばかりの21歳。

「今はスプリント力を磨き、ゆくゆくは中長距離で世界と勝負したい。目標は、リオパラリンピックで金メダル。それしか見ていない」と力強く語る。大会2日目の早朝に、7年後の東京パラリンピック開催が決定。2020年での活躍も期待される。

男子800mを日本新記録で優勝した和田、ガイドの今木一充

視覚障害クラスで3種目(10000m、800m、1500m)を制したのは、ロンドンパラリンピック5000m銅メダルの和田伸也(JBMA)。800m(T11)では、2位の谷口真大(神戸市)とゴール前のデッドヒートを繰り広げ、逃げ切って制した。記録も2分11秒03の日本新。「スピード練習をあまりできていなくて、ラストスパートが思うようにできなかった」と話したものの、充実した表情を浮かべた。

<選手のコメント>

■大井利江(岩手県)/円盤投(F53)

「(4本目で23m32を記録して優勝し)久しぶりに23mを出せてよかった。これから1年で1mずつ伸ばしていく練習をして、3年後のリオパラリンピックでは(自身が持つ世界記録の)26mになるように練習していきたい。2020年の東京パラリンピック時には72歳になっているけれど、目標にしたいですね」

多川・芦田・山本・池田は、日本ではじめて4×400mリレーに挑戦した

■永尾嘉章(ANAORI A.C)/100m、200m、400m(T54)

「今年最後のトラックレース。自分のなかで納得できるレースができた。(パラリンピック6大会出場もロンドンパラリンピックでは代表落ちし)ロンドンに行っていたら、もしかしたら今大会は出なかったかもしれない。行けなかったことで、やる気に火が付いた。(50歳となり)身体と向き合って、その時々の状況と自問自答しながら、自分自身を奮い立たせながらトレーニングしていきたい。(同じクラスの)樋口選手や渡辺選手? 僕も彼らから刺激を受けているし、彼らにとってもそう簡単に越えられない壁であり続けたい」

(取材・文/瀬長あすか・荒木美晴、撮影/吉村もと)