ブラインドサッカー — 2011/5/28 土曜日 at 10:14:26

初出場「乃木坂ナイツ」の挑戦~日本ブラインドサッカー選手権

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鮮やかなピンクのユニフォームで選手権に初出場! ドリブルで攻める乃木坂ナイツの佐々木/撮影:吉村もと

5月22日にF.C.Avanzare(アバンツァーレ/茨城)の4連覇で幕を閉じた「第10回日本ブラインドサッカー選手権・B1大会」。地元九州唯一のチーム、ラッキーストライカーズ福岡が準優勝と健闘し、大会はおおいに盛り上がった。そんななか、虎視眈々と優勝を狙っていたチームがある。東京から初出場した「乃木坂ナイツ」だ。

“オープン参加”が信条

ーー「選手たちがチームを越えて練習できる場所を」。そんなおもいから、2005年11月2日に「乃木坂ナイツ」は発足した。週1~2回ほど選手たちは東京都心の青山公園に集う。

平日の夜、仕事などの後に練習をしたくてもできる環境になかったブラインド選手にとって、そこは最高の自主練の場であったに違いない。

今では乃木坂ナイツは選手たちが気軽に足を運べる交流の場となっている。

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FKの壁をつくる乃木坂ナイツの選手たち

これまで、選手たちはそれぞれのチームで公式戦を戦ってきた。だが、今大会は選手不足に悩んでいた「松戸ウォーリアーズ」、「ブエンカンビオ」(神奈川)と合同チームを編成し、「乃木坂ナイツ」というチームとして日本選手権に出場することに。約2ヵ月前、大会に向けた練習がはじまった。

選手権に出場することになったとはいえ、「オープン参加」が乃木坂ナイツのリーダー葭原滋男の信条。他チームの選手が参加する普段の練習で、戦術の確認を行うことは難しい。そのため、おもうように練習できない苦労はあったが、葭原は日本一になるための“虎の巻”を作成し、チームの選手に配布。2度ほど行った練習試合で攻守の形を確認をしながら、戦略を練っていった。

“即席チーム”とはいえ、チームには日本代表として世界と戦ってきた選手が4人もいた。個々のスキルが高い乃木坂ナイツが、日ごろからじっくりとチーム練習をしている他チームの「チーム力」にどれだけ通用するのか。それも、この選手権の見どころだった。

予選2位で決勝トーナメントに進出

日本トップレベルの戦力を武器に予選1位通過を狙う乃木坂ナイツは、初戦で晴眼プレーヤー(※)が活躍するT.wings(埼玉)と対戦。前半から佐々木康裕がドリブルでゴール前に運び、トップにいた葭原につないでシュートを打つが、なかなか点につながらない。

しかし、乃木坂ナイツには布陣にバリエーションがある。後半は、戦術を変えて、日本代表でも活躍する落合啓士が積極的に攻撃参加。スピードに乗ったドリブルで切り込んだ落合が、見事相手ファールをもらい、佐々木が決めて先制。試合はそのままタイムアップとなり、乃木坂ナイツは1-0で初白星を獲得した。

続く兵庫サムライスターズ戦でも勝利を収め、乃木坂ナイツは予選最後の試合で予選最大の難関であるたまハッサーズと激突。試合前、ここまでの2試合でかみ合わなかった形を修正しようとミーティングを重ね、集中して臨んだ。だが、開始早々、たまハッサーズの黒田智成に決められ、苦しい展開に。必死の反撃に出るが、相手の堅守に阻まれてついにゴールならず。決定力不足が露呈した敗戦となった。

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声を出してチームを鼓舞した落合

今大会は、8チームが2グループに分かれて予選を行い、各グループ上位2チームが決勝に進出できる。

予選2位となった乃木坂ナイツは、大会2日目の準決勝に進出。もうひとつのグループを1位通過した王者アバンツァーレと対戦した。だが、アヴァンツァーレのエースストライカー田村友一に打ち込まれて0-2で敗北。続く3位決定戦のたまハッサーズ(東京)戦でも、日本代表の黒田にハットトリックを決められ0-3で完敗し、最終順位を4位とした。

試合後、代表の葭原は「ただただチームとしての実力不足を感じている。でも、乃木坂ナイツで日本選手権に出場できたことは感無量。みんなに感謝したい」と話した。

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力強いシュートを放つ葭原

目指すのは誰も見たことのないブラインドサッカー

今大会、乃木坂ナイツは、試合で得点に結びつく連携がうまくとれなかった。個々の力は、チーム力に及ばなかった。「自分で考案した“虎の巻”を浸透させきれなかった。今後はオープンな練習会を続けながら、晴眼プレーヤーの発掘をしたい」(葭原)

「見たことのないブラインドサッカーを見せたい。革命を起こします」
大会前、葭原はそう語っていた。結果は4位に沈んだが、乃木坂ナイツの選手たちが試合で見せた、スピーディーなドリブル、滑らかなヒールパス、そしてダイレクトで狙いにいったシュートは観客を喜ばせた。次は、どんなプレーが生まれるのか。今後も彼らに注目したい。

※晴眼(健常)者の登録が1チーム最大4人まで認められている。ピッチに入れる晴眼者は2人まで。

「第10回日本ブラインドサッカー選手権・B1大会」順位は、以下の通り

1位 F.C.Avanzare
2位 ラッキーストライカーズ福岡
3位 たまハッサーズ
4位 乃木坂ナイツ
5位 T.Wings
6位 大阪ダイバンズ
7位 兵庫サムライスターズ
8位 F.C.レインボー

【MVP】森亮太(ラッキーストライカーズ福岡)

【ベストゴールキーパー】安部尚哉(F.C.Avanzare)

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相手ディフェンスを振り切り、ドリブルで突破するアヴァンツァーレの田村友一

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MVPを獲得したラッキーストライカーズ福岡の森

(取材・文/瀬長あすか・撮影/吉村もと)