ブラインドサッカー — 2012/3/23 金曜日 at 16:23:25

ロンドンでメダルを目指す、ブラインドサッカーのスペイン代表

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FIAT presents ブラインドサッカークラブ選手権に参戦! 威力のあるシュートでたまハッサーズのゴールを脅かすスペインのMARTIN ANTONIO選手/撮影:吉村もと

8月29日に開幕するロンドンパラリンピック。アテネ大会から正式種目となったブラインドサッカーは、現在ブラジルが連覇中だ。そのブラジルの勢いを阻止しメダルを狙うのが、この競技の母国であり、2010年世界選手権準優勝のスペイン。

22日まで、日本代表との親善試合及びクラブ選手権参加のために来日していたスペインチームの監督代理、カルロス・カンポス氏(IBSAブラインドサッカー部門チェアマン)にスペインのブラインドサッカー事情、ロンドンへの意気込みを聞いた。

――もうすぐパラリンピック。ズバリ目標は?

3位以上。つまりメダルの獲得が目標です。

――パラリンピックでは、スペインのどんなサッカーを見せたい?

自分たちの持ち味である攻撃的なサッカーで勝ち進んでいきたいです。

――ライバルとして意識している国は?

どの国も強いけれど、あえて挙げるならサッカー王国のブラジルでしょうか。
スペインは、ブラインドサッカーの歴史が最も長い国ですし、ヨーロッパでチャンピオンになったこともあるから、南米には負けられませんね。
それに、スペインは過去に何回もブラジルを破っている。ただパラリンピックという舞台で勝利したことがないだけなんです。

――2010年の世界選手権ではブラジルが1位、スペインが2位でした。その差はどこにあると思いますか?

ブラジルは、当たりが強いし、個々の技術がある。
でも、チームとしてまとまっている点ではスペインが上。個人的には、組織的なサッカーこそブラインドサッカーの醍醐味だと思っています。

――そのスペインチームの選手たちは普段どんなことをしているのですか?

日本など諸外国と同様に、それぞれ職業を持ちながらサッカーをしています。教師だったり、障害者を支援するオンセという財団で宝くじを販売している選手もいたりします。奨励金を受けている選手はいますが、プロ選手はいません。

――選手たちの年齢は?

現在のメンバーの平均年齢は27歳。
2010年の世界選手権のときに平均32歳だったので、少し若返りましたが……。ヨーロッパ各国では、医療の発達などにより視覚障害者が減っており、ブラインドサッカーの人口も減っています。

――ブラインドサッカー人口と代表選手について教えてください。

全国10チームあり、B1(全盲)カテゴリーに属するのは150人ほどですね。10月から6月までがシーズンなので、私が試合を見て、ふさわしいと思った選手を代表候補として選抜します。今回の遠征では19人ほど召集し、フィールドプレーヤー8人、そしてゴールキーパーの2人を選びました。

――トップ選手がサッカーに費やす時間はどれくらい?

国内外の試合を年間45試合ほどこなし、週4回、それぞれ2時間くらい練習しています。各クラブチームの拠点には、ブラインドサッカーのフェンスが常設されていて、たいていはその練習場で行います。

――代表選手の強化合宿はどれくらい行っていますか。

通常、大会の前に4日間ほど合宿を行います。これからは実戦練習に重きをおきたいと考えていて、パラリンピック前に、スペインチームとして最低15試合を行いたい。
今後の予定としては、ブラジル、アルゼンチン、中国、フランスなどを招いてトーナメントを行う予定。パラリンピックの直前には約10日間合宿をして大会に臨みます。

――練習内容で特に意識していることを教えてください。

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日本遠征でスペイン代表の監督を務めたカルロス・カンポス氏

筋トレ、ストレッチ、ビデオ分析によるミーティングを含めて、練習内容は健常者のフットサルとそう違いはありませんが、ウォーミングアップでは必ずボールを使い、空間把握能力を磨きます。どの方向を向いてボールを蹴っているのか選手自身が熟知できて、制限されたスペースの中でプレーする感覚をしっかりと体にしみこませることが重要。どんなに高い技術を習得している選手でも、これができなくてはブラインドサッカーでは活躍できませんからね。

――最後に、ロンドンパラリンピック出場を逃した日本代表についての評価を聞かせてください。

大きな大会を開催するなど、アジアのブラインドサッカーに貢献してきた日本。本音を言うなら、今回のロンドンがパラリンピックに行くべきときだったと思います。
親善試合で新しい日本チームと対戦したとき(※結果は1-0、0-0、2-0でスペインが圧倒)、スペインが得意とするボールを回していくプレーを封じられた場面がありました。日本の当たりの強いところが、やりにくさを感じさせたのです。
これからリオデジャネイロ大会に向けて個々のテクニックを磨き、空間把握能力をもっと向上させれば強くなるチャンスはあるのではないでしょうか。日本は将来性のあるチームだと信じています。

(取材・文/瀬長あすか)