サッカー, ブラインドサッカー — 2013/2/13 水曜日 at 21:09:47

B2/B3日本代表の大きな一歩 〜ブラインドサッカー世界選手権

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試合終了後、観客席に向かって挨拶をする日本代表選手たち=セキスイハイムスーパーアリーナ

ブラインドサッカーと言えば、アイマスクをつけてプレーする全盲(B1)の競技を思い浮かべる人が多いだろう。視界がぼやけたり欠けたりして見える弱視の選手による「B2/B3」のブラインドサッカーはいつもその陰に隠れ、あまり注目されることはなかった。

このたび、宮城県利府町でB2/B3カテゴリーの第4回世界選手権が9年ぶりに開催された。日本代表も出場したが、4ヵ国中4位に終わった。日本は1点も決めることができず、世界との差を突きつけられた。11日の決勝では、5年ぶりに国際舞台に戻ってきたロシアが2011年のIBSA世界大会2位のウクライナを延長の末破り、優勝を果たした。

日本でブラインドサッカーが普及し始めた約10年前。当時、B2/B3の選手はB1の選手にまざりB1のルールで開催されていた国内大会に出場していた。その後、国内で試合が行われるようになり、B1と同時に開催されていたB2/B3の日本選手権は2008年から独自に開催されるようになった。現在、国内には5〜7チームがある。晴眼者のフットサルやサッカーチームでプレーする者もいるため、はっきりとした人数はわからないが、ブラインドサッカー経験がある弱視の選手は約50人といわれる。

B2/B3日本代表が初めて国際舞台に立ったのは、2011年にトルコで開催されたIBSA世界大会。「弱視の選手でも日の丸を背負い、世界を目指すことができる――」。多くの選手が胸を高鳴らせて試合に挑んだに違いない。だが、結果は出場9ヵ国中最下位。4戦を戦い、0勝4敗(得点1、失点69)という散々な結果に終わった。

「ボールをまわすことができず、シュートもまったく打てなかった」と語るのは、コーチとして大会に帯同した安藤久志(現監督)。世界と比べ体の線も細くて小柄な日本代表は、技術でもまったく歯が立たなかったのだ。

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宮城から世界へ、感謝の気持ちの横断幕も掲げられた

すでに日本で今回の国際大会が開かれることが決まっていた。「健常者のフットサル並みの練習をしなければ世界と戦えない」と安藤。目指すのはアジアナンバーワン(今大会でアジアからの参加国は日本のみ)と、ヨーロッパのチームからの1勝。来る国際大会に備え、強化合宿を重ねるなどして日本は再スタートをきった。

それにより、チームに変化が出てきたという。「選手個々の知識も格段に増えた。何よりスタッフと選手のコミュニケーションが密になり、トルコのときとは全く別物の日本代表として挑むことができた」と話すのは子どものころからサッカーをプレーし、ブラインドサッカー歴も9年と長い宮島健二(B2)。自身も大会を戦い抜くために筋トレで身体を強化し仕事が多忙でボールを触る時間をなかなか確保できない中、できる限りの準備をしたそうだ。

そして迎えた世界選手権。日本は「得点1、失点10点以下」という目標を掲げて一試合一試合を戦った。大会3日目の一戦では、サイドにパスを出して攻撃を組み立てるイングランドに対し、速い戻りのディフェンスで失点を10に抑えた。

グループリーグの戦いを終えた日本の選手たちは清々しい表情だった。「声と気持ちでは負けていなかったし、シュートも打つことができた」と安藤は手応えを口にし、「最後まで走りきることができた」とキャプテンの角谷佳祐(B3)は胸を張った。

だが、もうひとつの目標「1得点」は遠かった。日本は最後の選手になかなかボールをつなげることができず、決勝トーナメントでもゴールを割ることができなかった。合計5試合を戦い、0勝5敗(得点0、失点63)という成績で大会を終えた。

「焦りはあったけれど、相手にプレッシャーをかけることができたし、IBSA大会のときよりもずっと前進している」と安藤。
イングランドの監督イアン・ベイトマンも「日本チームはスピードも技術も上がっているし、チームが機能するようになった」と称えた。

チームが成長を感じられたことは自信になったに違いないが、彼らは決して満足はしていない。

アグレッシブなプレーを見せた竹内雄亮(B2)は「全然ダメです。持ち味のドリブルをさせてもらえなかったし、運動量でもまったくかなわなかった」と悔しさを口にした。
初めて世界大会に出場し、世界の厳しさを自らの肌で感じた竹内はまだ17歳だ。大会中から、「今後も世界の舞台で戦っていきたい」と話していた。

一方の40歳の宮島は、「大会の自国開催が決まったとき、ただうれしかった。若い選手がこの競技を知ってくれたらいいなと思ったから」と話し、B2/3クラスのさらなる普及を願う。

目指す場所はもっと高く遠いところにある。彼らの挑戦は、まだ始まったばかりなのだ。

▽日本代表の戦績
グループリーグ
日本●0 – 14○ロシア
日本●0 – 22○ウクライナ
日本●0 – 10○イングランド

決勝トーナメント
日本●0 – 13○イングランド
3位決定戦
日本●0 – 14○ イングランド

▽最終順位
優勝 ロシア
準優勝 ウクライナ
3位 イングランド
4位 日本

※【ブラインドサッカーB2/B3とは】B2(視力0.03もしくは視野5度まで)の選手2名以上と、B3(視力0.1もしくは視野20度まで)の選手がプレーする。パラリンピック種目のB1カテゴリーと同様に、ゴレイロ(GK)は晴眼者が行う場合が多い。ルールはフットサルとほとんど変わらないが、床とコントラストがはっきりした色のボールを使用する。