柔道 — 2010/11/15 月曜日 at 23:16:48

もう一度、パラリンピックの表彰台へ〜[柔道]男子66kg級、藤本が復活V!

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男子66kg級決勝で昨年覇者の広瀬を破り、優勝を果たした藤本聰/撮影:吉村もと

11月7日、東京・講道館で「第25回全日本視覚障害者柔道大会」が開催された。2011年IBSA世界選手権大会の日本代表選考会を兼ねる本大会。全国から集まった選手たちが、熱戦を繰り広げた。

この日、最も注目が集まったのは、男子66kg級の決勝。昨年、60kg級から階級を上げ、新王者となった広瀬誠と、パラリンピック3連覇の実績を持つ藤本聰の対戦である。

試合時間は5分。張り詰めた空気の中、両者が組み合い、試合が始まった。序盤から技を仕掛けていったのは藤本。攻める藤本に、広瀬も必死で応戦する。藤本が得意の背負い投げで有効ポイントを先取。見守る関係者から広瀬に声援が飛ぶ。藤本が時計を確認する。2分半経過。藤本の集中力は切れない。残り時間は2分を切る。審判から「待て」の声。両者は畳の中央で息を整える。その後だった。藤本の足技が鮮やかに決まり、一本。決まり手は、支釣込足(ささえつりこみあし)だった。

北京パラリンピックの後 苦闘した藤本の復活V

「引退覚悟で臨んでいたから……。(ロンドンに)首の皮一枚、つながったね。いやぁ、これまでの国内大会の優勝のなかで今回が一番うれしい!」

試合後、男子66kg級王者に返り咲いた藤本は、顔をほころばせた。

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1年越しのリベンジを果たし、笑顔の藤本/撮影:吉村もと

延長の末、広瀬に敗れた前回大会。王者の座とともに、この12月に広州で開催されるアジアパラ競技大会への出場切符も逃し、崖っぷちに立たされた。「もう、はらわた煮えくり返っていたね」。藤本は悔しさを隠さず、猛り立った。あれから1年。藤本は、見事広瀬に雪辱し、復活を遂げたのだ。

パラリンピックという大きな舞台があるから、ここまで強くなれた。「ロンドンに行けなかったら、次は6年後でしょ、もう年だし(笑)いつも目標に向かって走ってきたから」。

北京の後、苦しんだ。ロンドンを目指すため、柔道で負担をかけてきた手首の手術を決意。2度の手術を経験し「地獄を見た」。だが、手首への負担を軽減させようと、プロのトレーナーのもとで体幹を鍛えるようになってからは「体力が増し、機敏に動けるようなった」と言う。

アトランタから3連覇し、北京では銀メダルを獲得。そんな藤本には、もう一度パラリンピックで金メダルを獲らねばならない理由がある。
「今大会、徳島商高の先輩・島津宏基さんの帯で試合をした。北京に持っていって負けちゃったから、ロンドンで勝ってから先輩に返さないとね」

弱気になったときは、「帯を触って気合を入れた」と言う藤本。「自分の目標は、ロンドンでてっぺんを獲ること」と力強く話した。

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団体戦では埼玉が優勝した/撮影:吉村もと

▼第25回全日本視覚障害者柔道大会

男子60kg級 優勝 平井孝明
男子66kg級 優勝 藤本聰
男子73kg級 優勝 高橋秀克
男子81kg級 優勝 加藤裕司
男子90kg級 優勝 初瀬勇輔
男子100kg級 優勝 松本義和
男子100kg超級 優勝 正木健人
男子無段者 優勝 西村博章
男子シニア 優勝 青木裕
女子52kg以下級合同 優勝 赤塚正美
女子52kg超級 優勝 田中亜弧
都道府県対抗戦 優勝 埼玉県

(取材・文/瀬長あすか、写真/吉村もと)