Writer's eye, ウィルチェアーラグビー — 2012/5/15 火曜日 at 23:51:42

【Writer’s eye】アメリカで培った自信を胸に。ウィルチェアーラグビー仲里の進む道(前編)

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レイクショア・デモリッションの一員として全米選手権に出場した「外国人プレーヤー」仲里進=ケンタッキー・ナショナル・コンベンションセンター

ウィルチェアーラグビーが盛んな北米。今年の4月27日~29日、ケンタッキー州ルイビルのケンタッキー・ナショナル・コンベンションセンターで開催された全米選手権には、各地からトップ選手が集結。その中に、日本人プレーヤー仲里進(Shin Nakazato)の姿があった。

アメリカでシーズンを戦う理由

アテネ・北京パラリンピックウィルチェアーラグビー日本代表の仲里が、初めてアメリカに渡ったのは2009年。日本で、アメリカのように手足が欠損していようと体幹が強く、スピードに乗ってゴールラインまで粘り強く追ってくるようなタフな選手と対戦する機会は、滅多に得られない。「もっと上手くなりたい」。実際に激しくぶつかりあう北米のラグビーに触れた仲里は、トップ選手の実力に並びたいと思った。もちろん日本代表として、たびたび世界王者アメリカのトップ選手とも対戦している。だが、まずは4年に1度の大舞台であるロンドンパラリンピックの2012年まで、日本代表の中心メンバーとして定着するためにも、アメリカと日本を行ったり来たりしながら修行を積む覚悟を決めたのだ。

2シーズン目は、初年度に所属したレイクショア・デモリッション(アラバマ州)から、アメリカ代表の監督ジェームス・ガンビーが指揮するテキサス・スタンピードに移籍。英語に苦戦しながらも作戦ボードを駆使して戦い方を学び、同時に、試合の中でチームメイトや自分の闘志を高める方法を覚えていった。

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アメリカ代表選手や各国のエースが集結する全米選手権。TucsonがPortlandに勝利し、白熱の決勝を制した

「ラグビーのことばかり考えている毎日が楽しい」。日本代表の強化合宿参加のため、アメリカから一時帰国する仲里の言葉からは、いつも充実感がみなぎっていた。仲里が生まれ育ち、現在も暮らす沖縄に、この競技のチームは1つしかない。練習試合も思うようにできない環境にいたのだから、週末に開催されるアメリカのトーナメントに参加することすら贅沢なことだった。

仲里がアメリカで鍛えた成果は、日本国内での活躍にも現れた。所属するOkinawa Hurricanesの日本選手権2連覇、そして日本代表の3大会連続パラリンピック出場権獲得にも貢献。持ち点制のこの競技では、オフェンスの要となる持ち点3.5~3.0クラスの状態がいい選手が注目されがちだが、いまや2.5クラスの仲里は日本の鍵を握る選手だ。

「アメリカに渡るまでは(コートの中で持ち点が最も高い)他の選手に頼っているところがあった。今では『自分がナンバーワン』だと思って相手に向かっていけるようになりました」

タックルによる激しい攻防が展開するウィルチェアーラグビー。まさに気持ちの強さがプレーに現れるスポーツである。沖縄から単身アメリカに渡って成長し、自信を得た仲里のプレーには“強気”が宿るようになった。

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(取材・文/瀬長あすか)