ウィルチェアーラグビー, 夏季競技 — 2014/1/23 木曜日 at 19:44:38

BLITZが2連覇達成、ウィルチェアーラグビー日本選手権大会

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勝負強さを見せつけ、大会2連覇を達成したBLITZ(埼玉)の選手、スタッフ=千葉ポートアリーナ/撮影:吉村もと

1月17日から開催されたウィルチェアーラグビー日本選手権大会は、19日、BLITZ(ブリッツ/埼玉)の2連覇で幕を閉じた。15回目を迎えた本大会には、全国9チームによる予選を勝ち抜いた6チーム、そして混戦のプレーオフを勝ち抜いた2チームの計8チームが出場。初日から拮抗した好ゲームが展開され、優勝争いは混沌とするかに思えたが、最後は王者の貫録が光った。

悲願の決勝進出を果たしたAXE

決勝を戦うAXEの羽賀

決勝は、7度目の優勝を狙う王者BLITZと7回目の出場で初の決勝進出を決めたAXE(アックス/埼玉)の対戦になった。

準決勝となるクロスオーバー戦で、日本代表選手3人を擁すRIZE(ライズ/千葉)を51-44で破ったAXEの選手たちは、試合後、喜びを爆発させた。「目標にしてきた決勝に出られることが、本当にうれしい」とチームを立ち上げた岸光太郎。ミツドポインターの羽賀理之とハイポインターの峰島靖のどちらかが常に相手ゴールを攻め、ディフェンスでは相手戦力の弱点を逃さない。AXEの総合力と決勝への執念が決勝への道を切り拓いた。「チームワークでここまで来た。あと一歩で決勝に手が届かなかった昨年までは、ひとつミスを起こしたらそのまま崩れていったけれど、切り換えて立て直す力が備わった」と話した峰島は、「勢いに乗っててっぺんを獲りたい」と続けた。決勝の相手は、最も練習を共にしているが、公式戦ではまだ勝ったことのないBLITZ。「今年は本気で優勝を狙っている」と語っていたプレイングマネージャーの福井正浩は「胸を借りるつもりで臨む」と意気込んた。

一方のBLITZは、かつて5連覇を成し遂げた名門チーム。3年前に王座から転落するも、昨年、ケガから復帰したエース島川慎一の不屈の闘争心、ベテランと若手の融合がチームを再び日本一に押し上げた。近年は、完全勝利を信条とするチームの宿命なのか、ベンチメンバーが相次いで移籍し選手層に懸念があったが、それでも今大会も国内チーム随一の勝負強さを見せ、全勝で決勝に進出。とくに、「今大会もっとも大きな山」(島川)と位置付けていた北海道Big Dippers(ビッグディッパーズ)戦では、ひとつのミスも許されない状況の中、戦略的な連係プレーで、日本代表のエースとして活躍する池崎大輔の独壇場を許さず。65-52で退け、選手らは充実の表情を浮かべていた。

決勝では、島川(中央)を中心に王者の貫禄を見せつけたBLITZ

決勝の常連、BLITZの底力

BLITZボールで始まった決勝戦。落ち着いてボールを運ぶ王者に対し、「試合が始まる前は『行ける!』と思っていたのだけど……。序盤、全然走ることができなかった」という羽賀が試合開始早々に立て続けにファールを取られる。そのチャンスをBLITZが見逃さないわけがない。主力の田村学と島川の2枚看板にボールを集め、一気に4点差をつけた。「AXEの攻撃が消極的に感じた。そこには確実に経験の差が見えた」と田村。一方のAXEベンチのベテラン福井は「選手にタフさが足りない」と選手交代に動き、自らアグレッシブなプレーを見せたが、流れを変えるまでには至らなかった。その後も、BLITZが点差を広げ64-49で勝利し、2年連続7度目の優勝を飾った。

Freedomは選手権初出場。日本代表の池(中央)が攻守に渡って活躍するも、初勝利は次回に持ち越された

日本代表選手が各チームに分かれ、混戦の様相を見せている国内大会。初出場のチームの健闘も大会を盛り上げた。初出場のFreedom(フリーダム/高知)は、初戦でAXEの攻撃をバックコートに押し込み、途中までリードするなど善戦したが、目標だった1勝は挙げられず。エースの池透暢は、「(身長の高い)自分の高さへの対応がどのチームも速くて、終盤に追いつめられて逆転されてしまった。チームプレーの継続ができなかったことが、勝ちきれなかった原因。攻守のパターンを増やして、次もまたこの舞台に来たい」と話した。また、日本選手権会場の千葉を拠点に新しいチームも生まれた。RIZEを立ち上げた官野一彦は、「日本一練習するチームがコンセプト。チームにスーパーヒーローがいないので、仲間を助けつつ自分を活かすプレーを練習してきたが、大事なところでそれが出なかった。来年以降ファイナルに出られるよう、そしてRIZEからどんどん日本代表を出せるようチーム作りをしていきたい」と、誓いを立てた。

▼選手のコメント

・島川(BLITZ)

「無事に2連覇を達成することができてよかった。各チームのレベルも上がり、厳しい試合もあったので、その中で勝ち抜けてうれしい」

・岸(AXE)

「初めての決勝という舞台で気負いがあったのかもしれない。それに、他のチームには通用した戦法が2枚看板のいるBLITZには通用しなかった。(準優勝は)悔しいけれど、チームのいい経験になった」

・池崎(北海道Big Dippers)

「自分ひとりの力ではなく、勝てるチームを作りたい。今大会はベストなラインで戦うことができなかったが、来年は優勝したい」

・仲里(Okinawa Hurricanes)

「新しい2人の選手にとって初めての選手権。主力の欠場で予定のラインで戦うことができなかったが、来年につながる戦いになったと思う」

・渡邉(Freedom)

「代表の中心でプレーする池さんと一緒にプレーでき、自分のレベルアップになる。試合では、うまくフリーになって上がれたとき、ゴール前に精度の高いパスが来るので得点につなげることができた。次回大会ではチームみんなでミスを少なくし、ラグビーを理解し、一個でも勝ちたい」

▼第15回ウィルチェアーラグビー日本選手権大会

●最終順位

1位 BLITZ(埼玉)

2位 AXE (埼玉)

3位 北海道 Big Dippers (北海道)

4位 RIZE(千葉)

5位 Okinawa Hurricanes (沖縄)

6位 BLAST(千葉)

7位 HEAT(大阪)

8位 Freedom(高知)

●個人賞

MVPに輝く活躍を見せた北海道 Big Dippersの池崎

<MVP>

池崎 大輔(北海道Big Dippers/3.0クラス)

<MSP>

岸 光太郎(AXE/0.5クラス)

<Best Player>

0.5クラス 小谷 慎吾(Freedom)

1.0クラス 荻野 晃一 (BLITZ)

1.5クラス 渡邉 翔太(Freedom)

2.0クラス 羽賀 理之(AXE)

2.0クラス 官野 一彦 (RIZE)

2.5クラス 仲里 進(Okinawa Hurricanes)

3.0クラス 島川 慎一(BLITZ)

3.5クラス 峰島 靖 (AXE)

(取材・文/瀬長あすか、撮影/吉村もと)