車椅子ツインバスケットボール — 2010/6/26 土曜日 at 0:48:32

神奈川が雪辱、沖縄の3連覇を阻む

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3大会ぶりに全国制覇を成し遂げ、笑顔で集合写真におさまる神奈川ジャンクスの選手、スタッフ、家族ら

車椅子ツインバスケットボールのチーム日本一を決める「第24回日本車椅子ツインバスケットボール選手権大会」が6月12日・13日、小牧市スポーツ公園総合体育館パークアリーナ小牧で開催された。

前人未踏の大会3連覇を目指す沖縄フェニックスと、その沖縄に2年連続準決勝で敗れている神奈川ジャンクスで争われた決勝は、序盤から円内シューターにボールを集めて得点を重ねた神奈川が72-62で沖縄に雪辱し、3年ぶりに王者を奪回した。

年に1度行われる選手権は、全国34チームから各ブロックの予選を勝ち抜いた精鋭14チームが出場。前年度優勝の第一シード・沖縄は、1日目に前回大会ベスト4のHorsetail(東京)を、準決勝で地元・KINGS(愛知)を66-40で撃破して決勝へ。一方の神奈川は、一回戦で岐阜エクスプレスを下した後、2年連続準優勝のキャロッツ(兵庫)、強豪・千葉ピーナッツに苦しみながらも勝利を収め、決勝に進出。「打倒・沖縄」を掲げた各チームによって白熱した戦いが繰り広げられた。

手に汗握る決勝戦! 神奈川ジャンクスが激戦を制す

緊迫の決勝戦。ここまでスピードのあるパスワークと堅守でトーナメントを勝ち上がってきた神奈川。決勝は、佐々木(3.5/上)、山崎(3.5/上)、田邉(1.5/円内)、深澤(1.5/円内)、岸本(1.5/円内)という布陣で試合に臨んだ。

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決勝は、沖縄フェニックス・仲里のシュートが大きな弧を描いたところでタイムアップ。神奈川ジャンクスが接戦を制した

上シューター山崎のランニングシュートで先制した神奈川は、オフェンスの佐々木と山崎がボールを前に運び、3枚と厚い円内シューターに打たせる形で得点を量産。さらには、コートを広く使ったプレスで、突破力のある沖縄の攻撃を封じ、42-26と突き放して試合を折り返す。

だが、ここで終わらないのが王者・沖縄。第3ピリオド途中で、神奈川の佐々木を5ファールで退場にすると、仲里の速攻、内間の円外シュートで得点を重ね、ペースを呼び込む。続く最終ピリオドも仲里と山川が確実に決めて、一時は4点差に迫る猛追。だが、激しいディフェンスの神奈川を前に、反撃の狼煙が遅きに失し、試合は72-62で神奈川が勝利。神奈川ジャンクスが3年ぶり2度目の優勝を手にした。

練習に裏打ちされた自信とチーム力で王者奪還!

「先取点を取ったことで冷静に試合を進められた」
神奈川ジャンクスのコーチ石守は、決勝を振り返る。

終盤、2ゴール差まで詰め寄られる場面。ベンチから指揮を執った石守は、選手に絶対的な信頼を寄せていた。
「焦ることはなかった。みんなをどう鼓舞するか、それだけを考えていた。練習してきたことを思い出してさえもらえれば、盛り返せる」

練習に裏打ちされた自信と信頼関係。それが神奈川の強さだ。

「あれだけ練習で走ったからね」
練習で培った走力を勝因のひとつに挙げたのは、出場した4試合で68点を叩き出して得点王に輝いた田邉。

田邉は言う。
「(スタメンが退場になっても)チーム力で勝てるのがジャンクス。総合力で勝っていた」

神奈川は選手層が厚い。【上シューター/2】-【円内シューター/3】というスターティングの布陣に加え、高橋(3.0/上)、山口(2.0/円外)を投入した場合の【上シューター/2】-【円外シューター/1】-【円内シューター/2】というスタメンに比肩するレベルの、第2ラインがある。キャロッツ戦、千葉ピーナッツ戦では、構成の違う2パターンのラインを効果的に使い分ける采配が吉と出て、逆転勝利を収めている。

まさに、総合力で掴んだ優勝だった。

そして、神奈川の強さの秘訣が、もうひとつある。
強者・沖縄の存在だ。

今大会、神奈川の観客席に翻っていた“打倒・沖縄フェニックス”の応援旗に象徴されるように、選手たちは沖縄をライバルと位置づけて鍛錬を重ねてきた。

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日本一を達成した、神奈川ジャンクスの主要メンバー

神奈川は、週1〜2回の全体練習のほか、選手権前は積極的に練習試合を消化する。昨年、沖縄戦で敗退したことをきっかけに、チームをA、Bと2チームに分けることにした。そうして、それぞれが実戦を積んで自信をつけた。「2つのチームで刺激になったし、なによりも自主性が生まれた」と石守。しっかりと準備をしてきた自信と“打倒・沖縄フェニックス”というモチベーション。それが、メンバーの結束力を生み、日本一への力となった。

沖縄のエース・仲里は「うちのチームも、神奈川ジャンクスもウィルチェアーラグビーと並行して競技をしている選手が多く、お互いを知り尽くしているからやりにくかった」と悔しさをにじませつつも、「完敗です」と勝者を称えた。

また、今大会は、脊椎損傷者らがプレーする車椅子バスケットボールチームの強豪・ワールドB.B.C.が戦評を記録した。ワールドB.B.C.は、同じ愛知を拠点とする車椅子ツインバスケットボールチーム・KINGSと合同練習をすることもあるそうだ。96年アトランタからパラリンピックに4度出場している大島朋彦さんは「ツインバスケは、年々スピードが上がっていると感じる。決勝は、KINGSから勝ち星を挙げた沖縄が制すると思っていたけれど、スピード、シュート力ともに神奈川が勝っていた。みんなでコート全体を使ってディフェンスをする点は、自分たちの車椅子バスケと通ずるものがある」と話していた。

来年度の日本選手権は、今大会に引き続き、東海地区での開催が予定されている。
新時代を築きたい神奈川、3連覇を阻まれた沖縄、そして涙を飲んだ他のチームは、どんなチーム作りをして臨むのだろうか。

▼個人賞の受賞は、以下の通り

<MVP>
神奈川ジャンクス 深澤 康弘(1.5/円内)

<得点王>
神奈川ジャンクス 田邉 耕一(1.5/円内)

<Best5>
神奈川ジャンクス 山崎 郁磨(3.5/上)
神奈川ジャンクス 岸本 雅樹(1.5/円内)
千葉ピーナッツ 松田 誠(2.0/円外)
沖縄フェニックス 内間 寿正(3.0/円外)
KINGS 末続 豊樹(1.5/円内)

(取材・文/瀬長あすか)