アルペンスキー — 2014/1/28 火曜日 at 22:57:20

ジャパンパラ閉幕、座位・森井、立位・三澤が3冠

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ソチでも活躍が期待される男子座位の3選手(左から狩野・森井・鈴木)=白馬八方尾根スキー場/撮影:吉村もと

長野県白馬村の八方尾根スキー場で25日に開幕したジャパンパラアルペンスキー競技大会は28日、最終日を迎えた。ソチパラリンピックを目前に控えた日本代表選手の多くが出場し、本番を見据えた熱いレースを繰り広げた。

男子座位は森井がエースの存在感

ライバルは「自分自身」と語る森井。今大会も安定した滑りで頂点に君臨した

男子の座位は森井大輝(富士通セミコンダクター)が回転とスーパー複合、スーパー大回転の3冠を達成。大回転では2本目でコースアウトして途中棄権となったが、優勝した3つの種目では安定した滑りで存在感を見せつけた。ソチ大会の日本選手団主将も担う森井は、2011-2012シーズンに日本人で初めてワールドカップの年間チャンピオンに輝いた絶対的エース。過去3大会のパラリンピックで3つのメダルを獲得しているが、金メダルはまだ手にしていない。4度目の大舞台では、悲願のタイトル獲得を誓う。

一方、森井に続き、昨季のワールドカップ総合チャンピオンとして注目を集めた鈴木猛史(駿河台大学)は、得意とする回転で2位に終わり、悔しさをにじませた。「滑っている間、余裕があったのでスピードが足りないとわかってはいたのですが、やっぱり負けは悔しいな。(優勝した)森井さんとのタイム差も大きくて複雑な気持ちです」と語った。本番に向けてスキー板のエッジやサスペンションを見直し、最後の調整で巻き返しを図る。

立位では三澤も3冠達成

立位では三澤拓(キッセイ薬品工業)が大回転とスーパー複合、スーパー大回転の3種目で優勝した。白馬の水分を多く含む雪質はソチと比較的近く、ソチのほうがより難易度が高いバーンだとされ、「僕の場合は、片足で雪面を蹴った時に体幹を維持する滑りをすることが大事」と話す。スーパー複合では2本ともミスなくまとめたものの、「(ソチでは)スタートからもっと理想のラインを攻めないとタイムが出ないと思う」と分析する。また、降りしきる雪の中行われた2日目の回転では、東海将彦(エイベックス・グループ・ホールディングス)の後塵を拝した。「(スピードを出しにくい条件でも)2本ともしっかり揃えることが大事。もっと高みを求めていかないと」と反省を口にした。

回転で優勝した東海。ソチでは8年ぶりの表彰台を狙う

その回転を制した東海は、2006年トリノパラリンピックの大回転の銀メダリスト。前回バンクーバー大会はトリノを超える成績が期待されたが、直前のケガのために欠場した苦い経験がある。もう一度、パラリンピックの表彰台へ――。8年越しの想いを胸にソチに臨む。

女子座位は16歳の村岡が大回転を制す

16歳で初めてのパラリンピック代表に選ばれた女子座位の村岡桃佳(正知深谷高校)が、初日の大回転を制した。パラリンピックに5大会連続で出場し、金メダル2個を含む合計10個のメダルを獲得している元日本代表の大日方邦子(電通パブリックリレーションズ)を抑えての優勝で、成長を証明した。

ゴール後、先輩の大日方からアドバイスを受ける村岡(右)(撮影:荒木美晴)

村岡は4歳で病気のため車椅子生活に。陸上競技を経て、スキーを始めたのはわずか3シーズン前のことだ。世界のトップで活躍する森井や狩野亮(マルハン)ら先輩チェアスキーヤーに指導され、ぐんぐんと成績を伸ばしてきた。そんな村岡は、「まだ急斜面が苦手」と話し、2日目の回転でもレースの途中で3回ほど止まりかけた。結局、回転では大日方が優勝、村岡は3位に終わった。印象的だったのは、このレースの後に大日方が村岡に滑りのアドバイスをしていたことだ。ライン取りのコツなど、経験に基づく大先輩からのレクチャーに、村岡は真剣に耳を傾けていた。大日方いわく、「(村岡は)スポンジのように吸収している時期」。これから臨む国内での合宿とイタリア遠征でどれだけ経験が積めるかが、ソチでの活躍のカギになりそうだ。

聴覚障害者カテゴリーの男子回転で優勝した20歳の北城大地

今大会は視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者カテゴリーも行われた。また、韓国からも2名の選手が出場した。

(取材・文/荒木美晴・瀬長あすか、撮影/吉村もと)