震災の影響で仙台から大分に会場を移して開催された今大会。左足義足の山本篤選手、プロの車いすレーサー・廣道純選手の強さが光った(=大分市営陸上競技場/撮影:瀬長あすか)
9月24日・25日に大分市営陸上競技場で「2011ジャパンパラリンピック陸上競技大会」が開催された。左足義足の山本篤(T42・F42)が男子200メートル、走り幅跳びの2種目で日本新記録を更新するなど、合計23の日本新が生まれる記録ラッシュの大会となった。トップ選手は、来夏のロンドンパラリンピック参加条件となるA標準記録突破や世界ランキング上位進出を視野に入れ、熱のこもったレースを展開した。
山本篤が2種目で日本新記録を樹立
山本は北京パラリンピックで銀メダルを獲得した幅跳びで、自らが持つ日本記録5m93を大幅に更新する6m14をマーク。
トラック競技の100mに重点を置き、幅跳びの技術練習はほとんど行っていないと言うが、スピードにのった跳躍で好記録を出した。跳躍後は、「なかなかできなかった6m超えを達成できてうれしい」と、笑顔を見せた。
現在は、スピード練習、そして身体を大きくするためのウエイトトレーニングに力を入れているという山本。200mでは26秒72の日本新、100mは追い風参考記録ながら12秒90で優勝するなど調子は上々のようす。ロンドンでの活躍が期待される。
注目の中西麻耶は得意の幅跳びで悔し涙
最大の注目を集めたブレードランナー・中西麻耶は、練習拠点であるアメリカからロス五輪三段跳び金メダリストのアル・ジョイナーコーチを呼び、1日目の幅跳び(F44)で世界記録を狙った。だが、6本のジャンプのうち4本で踏み切りが合わずに苦しみ、最後のジャンプで大会新の4m94を跳んだものの自己ベストを更新できず。「世界記録を意識しすぎた。もっと精神的に強くならなくてはいけない」と悔し涙を流した。
だが、2日目に出場した100m(T44)では13秒92で優勝。大会を振り返って、「課題が明確になった。早くアメリカに戻ってトレーニングしたい気持ち。金メダル、世界記録をとりたいから・・・・・・」と語り、前を向いた。
廣道純が3種目で優勝、ロンドンに弾み
プロ車いす選手として日本陸上界をリードする廣道純は、200m、400m、800m(T53)、1500m(T53-54)の4種目に登場し、3種目で1位に。200mと1500mでは自己ベストを記録、すべての種目でA標準を突破する好調ぶりを見せつけた。
自ら最高峰と位置づけた世界陸上韓国テグ大会(9月3日のエキシビジョン車いす部門400mに出場)に合わせ集中的にスタート練習をしてきたこと、大会後は10月に出場するマラソンに向けて走り込みを行っていることが相乗効果を生み、好タイムにつながっているようだ。
レース後は、「ロンドンを視野に入れ、長距離と短距離のどちらにも力を入れていきたい」と力強く話した。
このほか、視覚障害の天摩由貴(T11)が200mで、和田伸也(T11)が1500mで日本記録をマーク。また、T53-54の花岡伸和が1500mで大会記録を更新するなど、79の大会記録が誕生した。パラリンピックイヤーである来年の選考の厳しさを予感させる大会だった。
【陸上のクラス分け】
障害の種類やレベルが選手によって異なるため、同じ競技能力の選手が競い合えるように競技毎、クラス分けが行われる。たとえば、右足をひざ下から切断している中西選手は、片下腿切断または片足関節の機能がないT44及びF44クラスに区分される。(「T」は100mなどトラック競技、「F」は幅跳びなどフィールド競技)
(取材・文/瀬長あすか)