アイススレッジホッケー世界選手権2012 — 2012/3/27 火曜日 at 3:00:46

高橋、上原のゴールでエストニアに2-0で勝利!

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1ゴール1アシストと活躍し、チームを勝利へと導いた上原大祐(FW)/撮影:吉村もと

アイススレッジホッケー世界選手権は26日、競技2日目を迎えた。現地時間の朝8時からの第1試合に出場した日本は、無得点で迎えた最終ピリオドに高橋和廣(FW)と上原大祐(FW)がゴールを決め、2-0でエストニアを退けた。同じグループAのアメリカ×チェコ戦は延長戦でも決着がつかず、シュートアウト対決の結果、チェコが勝利した。

●日本2-0エストニア(グループA)

エストニアとの対戦は2004年の世界選手権以来、実に8年ぶり。エストニアはバンクーバーパラリンピックには出場していないが、今大会の初戦で世界一のチーム・アメリカに善戦したチームだけに、あなどれない相手だ。朝食時のミーティングでは、中北監督から「中をがっちり固めて守るエストニアは強敵だが、日本のスピードは絶対に負けない。相手のペースに合わせないように」と指示が飛んだ日本代表。その言葉のとおり、試合は終始日本が主導権を握り、リンクを広く使って、多彩な攻撃でエストニアゴールを幾度となく脅かした。

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司令塔の高橋和廣は待望の先制点を挙げ、チームのリズムを作った

ところが、相手はさすがに堅守のチーム。ゴール前の混戦ではディフェンスが日本のシュートをことごとくはじき、ゴールキーパーも鋭い反応を見せて、スーパーセーブを連発。また、日本が攻めきれずにアイシングで逃げられる時間帯が続くなど、なかなかゴールを割ることができなかった。第2ピリオドまで両チーム無得点。運命は最終ピリオドに持ち込まれた。

均衡を破ったのは、日本だった。最終ピリオド開始5分でエストニアがペナルティを犯し、さらにその1分後に別の選手の反則で、ペナルティが2つに。プレーヤーの数が2人多くなる日本にとっては絶好のチャンスの場面で、ゴール前にパックを持ち込んだ上原が右後方にパスを出し、それを狙っていた高橋が鮮やかなシュートを決めた。

勢いにのる日本は、タイムアウトを挟んで、最後の猛攻をしかける。対するエストニアは、ゴールキーパーをあげて反撃に。日本はここでもパックをキープし、誰もいないゴールにロングシュートを2度放つが、いずれもゴールポストにはじかれるという不運も。しかし、試合時間残り39秒、遠藤隆行(DF)からパックを受けた上原がゴール前で粘り、シュート。これが決勝点となり、日本が2-0で勝利した。

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2ピリ中盤には安中幹雄からのキラーパスに合わせて鋭いシュートを放った中村稔幸

1勝1敗の五分に戻した日本は、28日にアメリカと対戦。この試合に勝利すれば、自力での準決勝進出が決まる。

◆高橋和廣(FW)のコメント
(上原から後方のパスを受けて先制点を決めた)あの1点は、そのために後ろに入っていました。私は長いシュートも打てるので、役割を果たさないと。我々は(初戦を落として)失うものがないので、多少リラックスして臨めたと思います。

●アメリカ1-2チェコ(グループA)

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シュートアウト対決でアメリカを見事に封じたGK・Vapenkaに駆け寄るチェコ選手

第2試合は、スピードを活かした攻撃で猛然とチェコ陣地に襲いかかるアメリカと、鉄壁のディフェンスで防ぐチェコの戦い。試合は第1ピリオドにアメリカが先制したが、その後チェコが残り時間46秒で得点し、同点に追いついた。

その後も、手に汗握る攻防が続くが、両チームとも無得点。延長戦でも決着がつかず、共に3人ずつペナルティショットを放つシュートアウト対決へ。アメリカの守護神は、バンクーバーパラリンピックで全試合無失点に抑えたStive Cash。対するチェコのゴールを守るのは、身長190センチを超える大型キーパー、Michal Vapenka。

先攻のチェコは2人がCashの動きをよく見て冷静に決める。対して、Vapenkaは後攻のアメリカの1人目のシュートを左手ではじきだし、続く2人目のシュートも体を倒して止めた。この瞬間、チェコの勝利が決まり、リンクの上に歓喜の輪が広がった。

●カナダ2-0韓国(グループB)

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カナダの攻守の要・Bradly Bowdenがチームを勢いづける先制点!

ともに初戦を白星で飾っているカナダと韓国の対決。両チームとも、スピードを活かした組織力で積極的にゴールを狙う展開に。混戦が続くが、第2ピリオドの終盤、両チームともペナルティを犯して一人ずつ少ない状況で、韓国ゴール前のフェイスオフからカナダのBradly Bowden(FW)が先制点。さらに、第3ピリオドにも追加点を挙げたカナダが、韓国を2-0で下した。

●ノルウェー0-2イタリア(グループB)

先制点を挙げたのはイタリア。第1ピリオド、パワープレーの場面で攻めるイタリアは、キャプテンのAndrea Chiarotti(FW)が強烈なシュート。相手ゴーリーに当たったパックは、その勢いを失わずに、後ろにコロコロと転がり、ゴールラインを割った。続く第2ピリオドにもゴール前の混戦から得点したイタリア。対するノルウェーは、イタリアのワンテンポ速いチェックにことごとくシュートチャンスをつぶされ、最後までリズムを取り戻すことができなかった。ノルウェーはこれで2敗。常に世界の勢力図のトップ3に君臨していたノルウェーが、窮地に立たされている。

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先制点を挙げて喜ぶイタリアのキャプテン、Andrea Chiarotti

●26日試合結果●

<第1試合>
日本0-0-2=2
エストニア0-0-0=0
(日本得点:①高橋 A上原、三澤 ②上原 A遠藤)

<第2試合>
アメリカ1-0-0-0-0=1
チェコ1-0-0-0-1=2

<第3試合>
カナダ0-1-1=2
韓国0-0-0=0

<第4試合>
ノルウェー0-0-0=0
イタリア1-1-0=2

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)