アイススレッジホッケー世界選手権2012 — 2012/3/29 木曜日 at 3:45:09

日本はアメリカに0-5の完敗、準決勝進出を逃す

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準決勝進出をかけて運命の一戦に臨んだ日本だったが、動きに精彩を欠いた/撮影:吉村もと

アイススレッジホッケー世界選手権は28日、各グループの予選最終戦が行われ、日本はアメリカと対戦。どちらも勝てば準決勝進出が決まる大一番だったが、日本は序盤からミスが続き、キルプレー中の失点が3度もあるなど大ブレーキ。良いところなく終わり、アメリカに0-5で完敗した。同じグループAのチェコ対エストニアは、シュートアウト対決の末、チェコが勝利し、グループ1位通過を決めた。

●日本0-5アメリカ(グループA)

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先制点を挙げて喜ぶアメリカ代表。この得点で勢いづいた

試合開始直後、日本は積極的にパックを中に入れ、得点のチャンスを狙った。しかし、日本らしいプレーが見られたのは最初の数分間だけ。5分39秒には塩谷吉寛(FW)、8分4秒には吉川守(FW)が反則を取られ、それぞれキルプレー中に失点。さらにアメリカに1点を追加され、3点ビハインドの苦しい展開に。

失ったペースを元に戻す糸口がつかめないまま試合は進み、防戦一方の日本。第2ピリオドには遠藤隆行(DF)のペナルティで、3度目のキルプレー中の失点を喫した。

その後も細かくパスをつないでゴールを狙う日本らしさは影を潜めた。攻撃につなげるはずのパスも、また混戦から苦し紛れに出したパックもことごとく相手に拾われた。さらに、味方同士の衝突でポジションに穴を開け、アメリカにフリーでシュートを打たせるなど、集中力を欠くプレーが目についた。

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ピリオドの間にリンクに集まり、動きの確認をしあう日本選手たち

一矢報いたい日本だったが、最終ピリオドも無得点。最後まで見せ場がないまま、無情にも試合は終了。この結果、予選1勝2敗の日本はグループAを3位で終了。準決勝進出という目標は果たせず、5‐8位決定戦にまわる。29日のプレーオフでは、グループBの4位のノルウェーと対戦する。

◆中北浩仁監督のコメント
(昨日同様)またペナルティから始まり、今日はまったく良いところがなかった。体ではなく、スレッジで相手に当たりに行って取られるペナルティは絶対にやってはいけないミス。なぜラインがちぐはぐになるのか、ミスをするのか、選手一人ひとりが“何が狂ってしまったのか”をしっかり考えて、次のノルウェー戦に臨んでほしい。4位以上という目標は果たせなかったが、絶対に5位を取って帰りたい。

●チェコ2-1エストニア(グループA)

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2試合連続のシュートアウト対決を制したチェコは、グループAを1位で通過

第1試合は、すでに2勝して準決勝進出を決めているチェコとエストニアの対戦。

試合は第1ピリオドにチェコが先制するも、エストニアがゴール前で左右に揺さぶりをかけて同点弾を叩きこむ。

その後は両チームとも得点を重ねられず、延長戦も無得点。シュートアウト対決となり、先攻エストニアの1人目と3人目が失敗したのに対し、後攻のチェコは2人が落ち着いてシュートを決めた。

●イタリア0-4韓国(グループB)

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ワンテンポ速いチェックでチャンスを作り、得点を重ねた韓国が準決勝進出

1勝1敗同士の対決となったイタリアと韓国の試合。ともに勝てば初めての準決勝進出となるだけあって、序盤から激しい攻防が続いた。先制点を挙げたのは韓国。全員が常に広い視野で動き、速いチェックでチャンスメイク。ゴール前のスペースに攻め込み、得点に結びつけた。その後は終始、韓国ペースに。イタリアのペナルティも重なり、コンスタントに得点した韓国が4-0で完封勝利した。

●ノルウェー1‐4カナダ(グループB)

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代表100試合目で2点目を挙げ、ベストプレーヤーに選ばれたAdam Dixon(DF)

ノルウェー王室のマッタ・ルイーセ王女が観戦されたこの試合。先制したのは、背中のケガで欠場した主力選手のHelge Bjornstad(FW)の穴を埋めるべく、組織プレーで臨むノルウェー。しかし、その後は不調のRolf Einar Pedersen(DF)も試合途中で退き、カナダに逆転された。ただ、最終的に点差は開いたが、これまで幾度となく世界の頂点を争ってきた両チームらしい白熱した展開となり、王女をはじめ大勢の観客を沸かせた。

●28日試合結果●

<第1試合>
チェコ1-0-0-0-1=2
エストニア1-0-0-0-0=1

<第2試合>
日本0-0-0=0
アメリカ3-2-0=5

<第3試合>
イタリア0-0-0=0
韓国1-2-1=4

<第4試合>
ノルウェー1-0-0=1
カナダ2-1-1=4

●予選最終順位●

<グループA>
1位 チェコ
2位 アメリカ
3位 日本
4位 エストニア

<グループB>
1位 カナダ
2位 韓国
3位 イタリア
4位 ノルウェー
※各グループ上位2チームが準決勝進出

●29日プレーオフ試合予定●

8:00 日本×ノルウェー
11:15 イタリア×エストニア
14:30 チェコ×韓国
18:00 カナダ×アメリカ

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)