アイススレッジホッケー世界選手権2012 — 2012/3/30 金曜日 at 4:05:06

日本崩壊・・・ノルウェーに敗れ、来期のBプール降格が決定

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Aプール残留をかけた試合で4点目をマークし、喜ぶノルウェーチーム/撮影:吉村もと

アイススレッジホッケー世界選手権は29日、プレーオフが行われ、順位決定戦に臨んだ日本代表は地元のノルウェーに0-4で敗れた。また、順位決定戦のもう一試合であるイタリア対エストニアの試合は、イタリアが1-0で勝利。この結果、日本とエストニアが7-8位決定戦にまわることになり、同時に来期はこの2チームが下位グループであるBプールへ降格することが決まった。

●日本0-4ノルウェー

ぜったいに負けられない試合――。

目標に据えていたベスト4入りがなくなり、「最低でも5位を死守」。そう声をかけあって臨んだノルウェー戦だった。

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最後まで攻め手を欠き、決定打が出ずに苦戦した日本チーム

第1ピリオド、最初にシュートを打ったのはノルウェー。攻められる時間帯が続き、日本のパワープレーのチャンスも逆に攻撃を許すなどしたが、無失点に抑え込んだ。

なんとか先制点を奪って、勢いをつけたい日本。だが、先に得点したのはノルウェーだった。第2ピリオド開始37秒、日本陣地でパックを奪い、抜け出したHelge Bjornstad(FW)が日本のディフェンス3人を振りきり、ゴール右隅にシュートを決めた。その後、日本は1分もたたないうちに追加点を許し、さらに中盤には日本のペナルティによるキルプレー中に失点を重ねた。

コースが甘くなったパスはことごとくノルウェーにカットされ、攻撃の糸口がつかめない日本。一方のノルウェーは、日本のルーズパックに素早く反応し、オープンスペースにトップスピードで入りパスをまわすなど、今大会不振とはいえさすがの巧さを見せて日本を翻弄。最終ピリオドには、ゴールへの執念を見せ、ダメ押しの4点目を追加。攻めあぐねる日本を突き放した。

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先制点と3点目を挙げ、チームメートに祝福されるHelge Bjrnstad(FW、写真右から2人目)

日本はこの試合に敗れ、7-8位決定戦にまわることになり、同時に来期のBプールへの降格が決定した。IPCからの情報によると、日本が2014年のソチパラリンピックに出場するためには、来年のBプールの世界選手権で上位に入り、その後のAプール下位チームとのトーナメント戦に勝つことが条件となる。

点が取れない。守れない。声が出ていない――。
チームとして機能していない異変は、初戦を落としたときから感じていたはずだ。それが、最後まで修正できなかった代償は、あまりにも大きい。あの「バンクーバーパラリンピックで銀メダル獲得」で世界を沸かせたはずの日本の転落に、各チームも衝撃を受けている。

◆中北浩仁監督のコメント
監督10年目にしてこのチームしか作れなかったことを、自分で責めざるを得ない。悪いところが全部出た試合だし、今の実力ならこういう成績になるということ。この結果を選手たちがどう自覚してくれるか。これからは自分たちを追い込んでいくような選手たちの集団にしないと勝てない。選手もスタッフも失ったものが非常に大きいし辛いが、現実を受け入れるしかない。ただ、ソチへの道が断たれたわけではない。抜本的にチームを作り直し、来年の挑戦につなげたい。

●イタリア1-0エストニア

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堅守のエストニアから先制点を決め、喜ぶイタリアベンチ

第1ピリオドは、両チームとも決定打に欠け、無得点で迎えた第2ピリオド。ゲームの主導権を握ったのはイタリアだった。

試合中盤には、エストニアゴール前でじっくりとパスをまわして豪快なシュートを決めた。これが決勝点となり、イタリアが1-0で勝利。残留ラインとなる6位以上が確定となり、Aプールにとどまった。

●チェコ0-2韓国

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今大会、スピードを活かした活躍が際立つSeung hwan Jung(FW)は今日も先制点!

ともに初めてのセミファイナル進出となったチェコと韓国。試合は終始、韓国ペースとなった。第1ピリオドの11分8秒、今大会大活躍のSeung hwan Jung(FW)がスピードを活かしてチェコのディフェンス2人を後ろから抜き去り、豪快にシュートを決めて先制点。その後、第2ピリオドにはサイドへのパスからオープンスペースにつないで相手をひきつけ、最後はYong min Lee(FW)が鮮やかなゴールを決めた。

チェコの勢いを止めて勝利した韓国は、決勝に進出。セミファイナルのもう一試合を制した強豪・アメリカを相手にどんな戦いをするのか、注目が集まる。

●アメリカ2-1カナダ

実績からいくと事実上の決勝戦ともいえる強豪対決のこのカード。序盤からレベルの高い攻防が続いた。攻撃が瞬時に入れ替わる接戦のなかで、試合をリードしたのはアメリカ。第1ピリオドにチャンスの場面で確実に得点し、2点を奪取した。

第2ピリオドの終盤には、カナダが怒涛の攻撃でゴールに襲いかかるが、アメリカの必死のディフェンスと守護神・Steve Cashの素晴らしい反応で無得点に抑えた。

カナダが反撃に出たのは最終ピリオド。粘り強くアメリカゴール前に詰め、細かくパスをつないでAdam Dixon(DF)が豪快な一発を決めた。最後はゴールキーパーを上げ、6人で攻撃するカナダ。何度もアメリカ陣地に攻め込むが、しかしそのたびにアメリカの的確なチェックに抑えられ、追加点はならなかった。

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キャプテンとしてチームを引っぱり、先制点を決めたTyler Chace(DF)

●29日試合結果●

<順位決定戦 第1試合>
ノルウェー0-3-1=4
日本0-0-0=0

<順位決定戦 第2試合>
イタリア0-1-0=1
エストニア0-0-0=0

<セミファイナル 第1試合>
チェコ0-0-0=0
韓国1-1-0-2

<セミファイナル 第2試合>
アメリカ2-0-0=2
カナダ0-0-1=1

●31日試合予定●

【7-8位決定戦】14:30(21:30)  日本×エストニア
【5-6位決定戦】18:00(01:00)  ノルウェー×イタリア

●4月1日試合予定●

【3位決定戦】12:30(19:30)  チェコ×カナダ
【決勝】16:00(23:00)  韓国×アメリカ
※( )内は日本時間

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勝利の国歌斉唱では肩を組み喜びをあらわしたアメリカチーム

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カナダの攻守の要として活躍したBilly Bridges(FW)

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)