車いすハンドボール — 2008/12/5 金曜日 at 21:10:13

みんなでLet’s 車いすハンドボール

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障害の状態や、障害の有無に関係なく楽しめる、車いすハンドボール

身体的条件や性別、年齢にかかわらず、誰もが楽しめる「ユニバーサルスポーツ」。そのひとつとして注目されている「車いすハンドボール」の大会が京都で開催されると聞き、取材してきた。

今年で19回目を迎える「全京都車いすハンドボール大会兼全国交流大会」。毎年、11月の第4日曜日に予定されており、今年は11月30日に京都市障害者スポーツセンターで実施された。今大会は、6チームが参加。1部・2部合同の総当たり戦で行われ、初心者や健常者らは、車いす操作やボールの扱いに悪戦苦闘しながらも、経験者からアドバイスを受けながらプレーを楽しんだ。

2部で優勝した「西総合ブルーバード」は、今大会の優勝を目指して、1、2ヵ月前から集中的に練習に取り組んできたという。高田暁仁キャプテンは、「普段はあまり関わりのない人たちとも一緒にプレーできるのが魅力。ブロックに来た相手を止めて味方を助けるピックプレーなど、チームワークが重要なのもこの種目の面白さです」と笑顔を見せる。

車いすハンドボールのルールと歴史

車いすハンドボールは、6人制(コートプレーヤー5人とゴールキーパー1人)の対戦型競技で、ゴールにシュートして得点を競う。コートとゴールの大きさは通常より一回り小さく、安全性を考慮してスポンジでできた軟らかいボールを使用する。

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女性でも片手でつかめるスポンジ製のボール

一般的にはあまり知られていない車いすハンドボールだが、実は20年も前に考案された種目である。国内での普及に中心となって取り組んだのが、今大会を主催する京都障害者スポーツ振興会だ。「電動車いすを含む、車椅子バスケットボールのレベルに達しない車椅子常用者にも、集団で行うボールゲームの楽しさ、面白さを味わってもらいたい」という思いから作られた原案をもとに、長年にわたり京都府立体育館との共催で行ってきた「障害者スポーツのつどい」で紹介。活動グループが結成されたのを契機に、1990年に第一回大会を開催した。

スタッフや選手の尽力により、車いすハンドボールは少しずつ全国に広まり、現在では大阪や仙台など各地で練習に取り組む人々が増えてきているという。また、2003年には日本車いすハンドボール連盟が発足。比較的障害の軽い人たちや、福祉系の大学生を中心とした健常者らで結成されたチームも誕生し、今大会とは別に全国大会が開催されるなど、車いすハンドボールの認知度は向上しつつある。

しかし、言い換えれば、「重度障害の人を対象」にした種目という、本来の目的と違う方向に広がりを見せているともいえる。事実、健常者が多く出場する大会に出場した重度障害の選手からは、「レベルに差がありすぎて、楽しめない」という声も上がっているといい、振興会の飯田博副会長は「様々な大会があるから、競技として発展する。でも、重度障害の人が出られないのでは、そもそもの趣旨に反する。今後、どうすれば一緒にプレーしていけるか、大きな課題ですね」と、ジレンマを口にする。

20年前、動けない人たちを基準に考え、「どうしたらできるか」という角度から検証して、誕生した車いすハンドボール。「誰もが楽しめる」生涯スポーツの発展に向けた関係者の取り組みは、これからも続きそうだ。

(写真・記事:MA SPORTS/荒木美晴)