パリ2024パラリンピックは3日、パラ馬術の個人課目が行われた。パラリンピックのパラ馬術は「馬場馬術」のみ。9人馬がエントリーしたグレードⅡは、稲葉将(シンプレクス・ホールディングス)&ヒューゼット号が61.759%で8位に入り、上位8位のみが進む7日の自由演技課目への出場を決めた。吉越奏詞(小泉)&ジャビーロ号は61.724%で9位だった。
稲葉は東京大会ではグレードⅢだったが、昨年12月中旬のオランダの大会以降はクラス変更があり、パリ大会はグレードⅡで出場している。「グレードⅡは派手な動きのものがない分、より速歩(はやあし)や常歩(なみあし)の正確さが求められる。それを取りこぼさないことがこのクラスのキーになる」と話す稲葉。この日は馬場に入ってからヒューゼット号と噛み合わないところが出てしまったといい、「ヒューゼット号と乗ったなかでは一番悪い点数」と伸び悩んだが、8位に入ったことで自由演技課目への挑戦権を手にした。
パラ馬術の競技会場は五輪で「初老ジャパン」が銅メダルを獲得した総合馬術団体と同じベルサイユ宮殿。稲葉は「本場のこの舞台に立てること、大勢の人の前で演技をする喜びを感じ。今日はそれを表現する演技が出来なかったけれど、この経験を財産にして、次につなげていきたい」と話し、前を向いた。
また、吉越はすべての演技を終えると、笑顔とガッツポーズを作り、愛馬・ジャビーロ号を優しく称えた。「ジャビーロとベルサイユに立てたことを嬉しく思う。点数は良くなかったけれど、ジャビーロの気持ちを読み取れるように頑張った」と、充実した表情を見せていた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)