アイススレッジホッケー世界選手権は31日、順位決定戦が行われた。7-8位決定戦に臨んだ日本代表は、各ピリオドにコンスタントに得点し、5点を奪取。エストニアに勝利し、7位で大会を終えた。5-6位決定戦では、地元ノルウェーがイタリアを5‐0で下し、5位を死守した。
●日本5-0エストニア
試合開始前、ゴール前で大きな円陣を組んだ日本代表。来期のBプール降格が決まっているが、「勝って大会を終えよう」と声をかけあった。
日本は、これまでのスターティングラインナップを入れ替えてきた。その作戦が功を奏し、第1ピリオドの5分6秒、中村稔幸(FW)からのパスを受けた安中幹雄(FW)が先制点を挙げた。
続いて、10分にはエストニアのパスミスを拾ってつなぎ、高橋和廣(FW)が得点した。
第2ピリオド開始早々には、エストニアのペナルティによる日本のパワープレーの場面で、ゴール前に詰めていた須藤悟(DF)が右サイドからのパスにきれいにあわせて追加点。さらに5分44秒には、熊谷昌治(FW)のアシストを上原大祐(FW)が決め、ゴール前の混戦を制した。
4点リードで迎えた最終ピリオドには、高橋から受けたパックを遠藤隆行(DF)がひとり持ち込み、相手ディフェンスを抜き去って手首をきかせたシュートで5点目を叩きこんだ。
試合を振り返ると、大量得点とはいえ、スローペースのエストニアに合わせてしまったのか、やはり全体的にスピードが感じられない印象といえる。強いときの日本ならば、もっとアグレッシブに攻撃を仕掛けただろう。
とはいえ、低迷する今の日本チームにとっては、「勝つ」ことが一番の薬となるはずだ。試合後のリンクの上の選手に笑顔はなかったが、前を向き、この勝利をこれから始まる過酷な挑戦へのスタートとしてほしい。
◆遠藤隆行キャプテンのコメント
苦しい大会でしたけど、最後に勝利という形で終われてよかったです。今大会は、いろいろな問題を各自で修正する力がなかった。これが今の実力。現実を思い知りました。来年はBプールになりますが、これからも応援よろしくお願いします。
◆中北浩仁監督のコメント
この試合はラインを変えて、安中が1点目を決めたのが大きかった。それで、高橋や上原が奮起したと思うし、シャットアウトで勝てたのは次につながるので良かったと思います。Bプールに入ったときに、相手のテンポにあわせず、どれだけ自分たちのリズムでやっていけるかが大事になると思います。この大会を通して考えると、初戦のチェコ戦を落としたのがすべての敗因。選手個々がチーム力としてまとまったときに、「この勝負を勝ち取るんだ」という意欲が足りなかった。パラリンピックで金メダルを獲るという目標を変えるわけにはいかないので、これからしっかりと計画を立てて、チームを一から作り直していきたいと思います。
●ノルウェ5ー0イタリア
5-6位決定戦は、ノルウェーが終始試合をコントロール。序盤からリンクを広く使った多彩な攻撃で、イタリア陣地に襲いかかった。第1ピリオド4分26秒には、パワープレーの場面で先制。体格を活かしたチェックで相手の動きを封じ、コンスタントに得点を重ねた。
対するイタリアは、何度も相手ゴールを目指すが、ことごとくノルウェーディフェンスに跳ね返された。
試合時間3分を残したところで、ノルウェーの攻守の要・Rolf Einar Pedersen(DF)がペナルティで退場に。しかし、ノルウェーは全員で守り、イタリアに最後までゴールを割らせなかった。
今大会は不振にあえいだノルウェーだったが、最後にノルウェーらしいチームプレーを見せ、5位の座を死守した。
●31日試合結果●
<7-8位決定戦>
日本2-2-1=5
エストニア0-0-0=0
(日本得点:① 安中 A中村 ②高橋 A熊谷 ③須藤 A高橋、上原 ④上原 A熊谷 ⑤遠藤 A高橋)
<5-6位決定戦>
ノルウェー2-2-1=5
イタリア0-0-0=0
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)