第102回全日本ローイング選手権大会が6月20日から4日間にわたり、東京都の海の森水上競技場で開かれた。今年から健常のレースにまじり、パラローイングの競技種目が正式に採用された。2000mの直線コースで22日に予備レース、23日にA決勝が行われ、パラのクルーにも会場につめかけた多くのローイングファンから大声援が送られた。
PR1男子シングルスカルは2艇で競い、パリ2024パラリンピック日本代表に内定している森卓也(CHAXパラアスリートチーム)が安定した漕ぎで10分14秒66で制した。8月の本番に向けて最後の公式戦に臨んだ森は、「この良い状況をキープし、パリでは万全の状態で臨みたい」と決意を語った。また、陸上の短距離から転向し、今回が公式戦初レースとなる百武強士(唐津ボートクラブ)が2位に続いた。
非パラ種目で、視覚障害と上下肢障害の選手によるPR3男子ペアは、有安諒平・西岡利拡組(太田川BC)が優勝した。有安と西岡は同会場で行われた東京2020パラリンピックでは混合舵手つきフォアに出場しており、西岡は「東京は無観客試合だったが、今回は大勢のお客さんから名前を呼んでもらい、漕ぎ手として励みになった」と語り、有安も「会場の声援を力に変えられた」と笑顔を見せていた。坂口宥太・佐野靖典組(戸田中央総合病院RC)は、ペアでは初レースながら最後まで力強いパフォーマンスを見せていた。
また、1艇のみ出場となったPR3混合ダブルスカルはエキシビションで行われた。杭州アジアパラに出場した髙野紋子と健常者の野本耕司(宮島RC)がペアを組み出場。レース中は方向や距離が見えづらい視覚障害の髙野に野本が積極的に声掛けをし、スムーズな漕ぎを披露していた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)