馬術 — 2019/6/10 月曜日 at 8:03:49

人馬の息を合わせ、美を追求。グレードⅢの稲葉が3種目で優勝!

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グレードⅢの稲葉将&ピエノ。出場人馬中、唯一フリースタイルテストに進む活躍を見せた=御殿場市馬術・スポーツセンター(撮影/植原義晴)

パラ馬術の国際競技会「CPEDI3★Gotemba 2019 Summer 兼 JRAD 国内競技会PartⅡ」が7日から9日まで、御殿場市馬術・スポーツセンターで開催された。人馬一体となった演技の正確性と芸術性を男女混合で競い合うもので、華麗なパフォーマンスが披露された。

今大会は、規定演技を行う「チームテスト」、「インディビジュアルテスト」、各自で選んだ楽曲にあわせて演技を組み合わせていく「フリースタイルテスト」を実施。障がいの程度に応じて5つのグレードに分かれて競技を行う。求められる技術レベルは、最も障がいが重いグレードⅠは常歩(なみあし)のみ、グレードⅡおよびⅢは常歩と速歩(はやあし)、障がいの程度が軽いグレードⅣおよびⅤは常歩・速歩・駈歩(かけあし)と、それぞれ異なる。

グレードⅢの稲葉将(静岡乗馬クラブ/シンプレクス)&ピエノは、「チームテスト」および「インディビジュアルテスト」ともに高得点をマークし、成績上位者のみが出場できる「フリースタイルテスト」に出場。繊細かつ美しい演技で、堂々3種目で優勝を果たした(「チームテスト」は、本来は選手3名で構成される団体課目。今大会は団体課目用の経路で個人課目として実施した。また「フリースタイルテスト」は、本来は個人課目上位者が進出)。

2種目で優勝したグレードⅤの石井直美&ゴールドティア。

グレードⅡの吉越奏詞(成田乗馬クラブ)&バイロンエイティーン、グレードⅤの石井直美(東京障害者乗馬協会/サンセイランディック)&ゴールドティアはフリースタイルテスト出場には届かなかったものの、2種目を制した。

右上腕欠損の石井は、左手一本で手綱を握る。義手を着けた右手は、動きの反動で跳ねて鞭のようになり馬が走り出してしまうことがあるといい、バンドで身体に固定しているそうだ。東京2020パラリンピック出場を視野に入れつつ、「手綱に頼らないように下半身を強化していきたい」と今後のさらなる成長を誓っていた。

また、グレードⅣはチームテストは大塚宗毅(OISO乗馬クラブ)&リトルアトムが、インディビジュアルテストは高嶋活士(ドレサージュ・ステーブル・テルイ/コカ・コーラボトラーズジャパン)&ケネディ‐Hが制した。グレードⅠはただ一人、細川裕史(東京都障害者乗馬協会)&藤風が出場。国内競技会はグレードⅣの石山繁(サイトウ乗馬苑)&ランカスター、グレードⅤの大川順一郎(ポニースマイル)&オンディーナが出場した。

今大会は、東京2020パラリンピックの代表人馬選考大会の対象となる重要な大会のひとつ。高得点をマークしたグレードⅢの稲葉&ピエノ、グレードⅡの吉越&バイロンエイティーンが新たに選考基準をクリアし、夢の大舞台に一歩近づいた。

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(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)