〈東京パラリンピック〉車いすラグビー/混合予選グループA/日本53―51フランス(8月25日、代々木競技場)
金メダルを目指す日本はフランスと対戦し、大事な初戦を勝ちきった。世界ランキング3位の日本にとって、同6位のフランスは格下の相手だが、今回のパラリンピック出場国はニュージーランドを除き、実力が拮抗しているので、簡単に勝てる相手などいない。
日本は初戦の緊張からか、フランスのエース、ジョナタン・イベルナを止められず、第1ピリオド、第2ピリオドともに2点をリードされ、25―27で前半を折り返す。第3ピリオドで41―41と同点に追いつくと、終盤の盛り返しはシーソーゲームとなった実際の得点以上の勢いが感じられた。
ローポインターでありながら、体重やパワーのあるセドリック・ナンカンらによる手強いディフェンスを振り払い、キャプテン・池透暢(日興アセットマネジメント)、池崎大輔(三菱商事)、島川慎一(バークレイズ証券)が独走トライや連携プレーで得点を重ね、ローポインターの今井友明(三菱商事)や羽賀理之(ペプチドリーム)も自らトライ。最後までフランスも意地を見せるが、日本のチーム一丸となった「勝ちにいく思い」がフランスより勝った結果となった。
実はこの日、王者・オーストラリアが同7位のデンマークに1点差で負けるという番狂わせが起きていた。池は「オーストラリア戦は観ないで、目の前のフランス戦に備えていた」ようだが、池崎は「柄にもなく緊張していた」と心のうちを明かしている。
日本を苦しめたフランス、オーストラリアを破ったデンマーク。フランスは2024年に開催されるパリ大会に向けて、デンマークはアメリカ人のコーチの指導の下、強化を図ってきたという。1年延期となった本大会には、この間積み重ねたものが現れてくる。
相手がどうであれ、自分たちがやってきたことや仲間を信じること。ケビン・オアーH Cが率いる日本代表は、26日、勢いに乗るデンマークと対戦する。
(取材・文/山本千尋、撮影/佐山篤)