車いすラグビー日本代表が4日、オンラインによる会見を開き、ケビン・オアーHCとキャプテンの池透暢、今井友明が報道陣の取材に応じた。
日本代表は強化合宿を7月18日から1週間にわたって実施。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、関東在住の選手11名と最小限のスタッフのみで行われた。アメリカに帰国していたオアーHCはリモート映像でリアルタイムに選手の動きをチェック。少しずつメニュー強度を上げていく予定だったが、「1日半が過ぎた頃には通常のメニューがこなせるようになった。ゲーム形式も取り入れ、11名の参加だったが質の高い練習ができた。私にとって初めてのリモートコーチングで、選手のボディランゲージを理解するうえでは難しい点もあるが、他国より先にリスタートを切れたし、良い合宿になった」と評価した。
活動自粛後、久しぶりに代表合宿に参加した感想を聞かれた今井は、「持久力が落ちていた。後半になるにつれ集中力も落ちてしまった。だが、リモートでケビンが参加してくれ、課題が見えたのは良かった」と、率直に振り返った。また、高知県在住の池は参加を見送ったが、「合宿が開催されて嬉しかった。仲間の成長を感じたし、自分のモチベーションアップにつながった。8月の合宿から僕も参加予定なので楽しみ」と語った。
東京パラリンピックが1年延期されることについて、オアーHCは「日本チームにとっては良い方に転ぶ。ケガをしていた選手も治癒してベストに近づくし、とくに若い選手を高いレベルで向上させていける」と、前向きに捉える。4年前のリオパラリンピックでは、アメリカ代表が9カ月前に新人選手2人を招集して大きなインパクトを残したことに触れ、「今後も引き続き、新人発掘に力を入れる。スポーツを日本に根付かせるという意味でも必要だ」と述べた。
池はパラリンピックの延期が決まった当時を振り返り、「救われた気持ちだった。もしかしたら『中止になるかも』という思いがあったし、過去最高の自分と言い切れるまで高めてきていたから、中止になったら自分の存在価値まで失うのではないか、という気持ちだった」と不安に包まれた心境だったことを吐露した。現在は作り上げた肉体をいったんリセットし、再始動したばかりだが、気持ちは完全に切り替わっている。「パラリンピックで金メダル、という目標はずっと変わらない。今は揺るぎないモチベーションになっている」と言い切る。
今井も「金メダルを獲ることが支えてくれた人たちへの恩返しになると思うし、それに値するチームになるように、また一人の人間としても成長できるように、1年かけてレベルアップしていく」と言葉に力を込めた。
(文/荒木美晴)