ジャパンパラで記録ラッシュ! アジアパラへ弾み

日本チームのキャプテンとして結果で仲間をけん引する荻原虎太郎=横浜国際プール(撮影/植原義晴)

「World Para Swimming公認 2026ジャパンパラ水泳競技大会」が9月20日から2日間にわたり、神奈川県・横浜国際プールで開催された。10月開幕の愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会に出場する日本代表選手も多数出場し、白熱したレースが繰り広げられた。当初は22日までの開催予定だったが、台風の影響で日程を短縮。最終日に予定していた男女4種目を21日に繰り上げ、タイム決勝として実施した。

好調の荻原が100m背泳ぎ制す!

男子100m背泳ぎ(S8)決勝では、荻原虎太郎(あいおいニッセイ同和損保)が前半からハイペースで泳ぎ、予選で自身がマークした日本新記録を0秒45更新する1分5秒06で優勝した。今年1月から木村敬一(東京ガス)や鈴木孝幸(GOLDWIN)らと練習するようになり、「競技者として、人間として本当に強い人たちと一緒にやることで自分の弱いところがよく分かった」と荻原。持久力や瞬発力だけでなく、技術面も向上した。とくに、これまでのバサロキック1回で力強く進んでいたスタイルから、バタ足を加えて推進力と体力を維持する泳ぎに変えたことが、タイム短縮につながっているという。アジアパラで狙うのは1分4秒台。「このレースでは後半に少し焦りが出てしまった。あと1カ月で自分の泳ぎを突き詰めれば4秒台は出せると思う」と力強く語った。

同100m背泳ぎ(S10)決勝では、南井瑛翔(TOYOTA)が決勝で1分3秒97の日本新記録を樹立。自身が保持していたアジア記録は今年5月にカザフスタンの選手に抜かれたが、その記録まで0秒2に迫った。南井は「アジアパラでは記録を奪い返し、金メダルを獲りたい」と意気込みを語った。

同200m個人メドレー(SM5)では予選で田中映伍(東洋大)が3分4秒13をマークし、日本記録を更新した。

木下あいらがアジア新! 「アジアパラでは全種目で金メダルを」

タイムを確認してよろこぶ木下あいら(右)

女子では、S14クラスの木下あいら(個人)が圧巻の泳ぎを見せた。初日の女子100m背泳ぎ(S14)を1分9秒32の日本記録で泳ぐと、2日目の同100m自由形では予選・決勝ともにアジア新記録を樹立。台風の影響で同日に実施された同100mバタフライでは大会新記録、続く同50m自由形では28秒09の日本新記録をマークするなど、疲労を感じさせないタフな泳ぎで次々と好記録を刻んだ。

木下は難病の「再生不良性貧血」の診断を受け、パリ2024パラリンピック後の11月から競技から離れて治療に専念。投薬治療によって症状が改善し、骨髄移植を回避することができた。約1年4カ月にわたる闘病を経て、今年1月の日本知的障害者選手権新春水泳競技大会(千葉)で復帰。以降、ふたたびプールで輝きを放っている。「(闘病で)体力は落ちたが、休んだことで泳ぎたい気持ちが高まっている。それが結果につながっていると思う」。アジアパラでは6種目にエントリー予定で、「自己ベスト更新はもちろん、出る種目すべてで金メダルを目指して頑張りたい」と、意気込みを語った。

辻内彩野(三菱商事)は、同100m平泳ぎ(SB12)の予選で1分28秒28の日本新をマーク。さらに決勝ではタイムを縮め、1分25秒85で優勝を飾った。

チーム最年少スイマーが奮闘

アジアパラでも活躍が期待される14歳の山田龍芽

アジアパラの日本代表にも選出されている2人の14歳スイマーも、力泳で会場を沸かせた。男子の山田龍芽(宮前ドルフィン)は、5種目にエントリー。男子400m自由形(S6)予選では5分34秒90の大会新をマーク。さらに、同100m平泳ぎ(SB5)では予選・決勝ともに日本新となるタイムを記録し、存在感を示した。アジアパラ出場について「うれしい気持ちでいっぱい」と話し、「自己ベストでメダル獲得したい」と笑顔を見せた。

女子の都甲万結(大分パラ水連)は6種目にエントリーし、はつらつとした泳ぎを披露した。都甲は生まれつき左腕の肘から先がない。3歳で親子水泳を体験したことを機に水泳を始め、小学1年で全国大会に出場。昨年12月のアジアユースパラでは国際大会初出場ながら、個人5種目とリレーで金メダル5個、銀メダル1個を獲得し、大きな注目を集めた。初めての総合大会となるアジアパラについては、「目指していた大会。出場が決まってうれしかった」と振り返り、さらなる飛躍を誓った。

(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)