今年で23回目を迎える国内最高峰の大会「2013ジャパンパラ水泳競技大会」が7月14、15日の2日間、大阪・門真市のなみはやドームで行われた。10代の若手選手から、8月にカナダ・モントリオールで開催される世界選手権および今月末にブルガリアで開幕する聴覚障害者によるデフリンピックソフィア大会に出場する日本代表のトップスイマーまで、200名以上が参加。2日間を通して、31の大会新記録が誕生した。
ロンドンから1年、それぞれの再スタートを切った選手たち
昨年のロンドンパラリンピックの50mバタフライで銅メダルを獲得した小山恭輔(コロプラスト)は、2種目を制した。8月の世界選手権の日本代表キャプテンを務めることになり、「結果を残して、笑顔が絶えないチームにしたい」と意気込む。
個人としては、5月末から6月頭にかけてニューカレドニアで行われたレースに出場。気温と水温の差が6度もある屋外のプールで泳いだという。「世界選手権も屋外プールの可能性があるので、いい練習になりました」と振り返る。目指すは50mバタフライでメダルを取ること。世界記録保持者の中国の選手との再戦を視野に入れて、準備を強化していく。
ロンドンでは、得意種目の50m平泳ぎで3位だった鈴木孝幸(ゴールドウィン)も、世界選手権でのリベンジを誓う。合宿開けで臨んだ14日のレースでは、「まだ泳ぎが定まっていない」としながらも、51秒98で優勝。自身が持つ世界記録には遠く及ばなかったが、「あとひと月あるので修正したい」と力強く話した。
「3年後のリオに向けて、新しいフォームに取り組んでいるところ」と話すのは、視覚障害クラスの木村敬一(東京ガス)。
ロンドンで銀メダルを獲得した100m平泳ぎでは、今年に入ってからストローク数を減らす大きな泳ぎに取り組んでいるという。水をかくタイミングと体重の移動のコントロールが難しく、今はまだスピードが落ちてしまうそうだが、「改良に取り組んでいきたい」と前を向いた。
将来が楽しみな若手選手も台頭
今大会は、伸び盛りの10代の選手も奮闘。水戸市の中学3年生、池愛里(茨城DOSC)は、4種目エントリーしたうち50m自由形、100m自由形、100m背泳ぎの3種目で優勝。それぞれ予選で自らが出した大会新記録をさらに決勝で更新するという活躍をみせ、注目を集めた。
また、大会初日には、世界選手権とデフリンピックそれぞれの日本代表選手が紹介された。会場に集まった観客からは、大きな拍手とエールが送られた。
◆小野智華子(東京4TC)のコメント
「4月から(木村敬一やロンドンパラリンピック金メダリストの秋山里奈らを育てた)寺西真人コーチに教わるようになり、フォームが崩れてもすぐにチェックしてもらえる環境ができた。(初日のレースは)最初から足が動かずコンディションが悪かったけれど、世界選手権では記録を出したい」
◆江島大佑(シグマクシス)のコメント
「(2016年リオパラリンピックから正式種目になるパラトライアスロンの)5月の大会に出場してから、すぐに水泳に取り組んだ。気持ちの切り替えがなかなか大変だった。(200m個人メドレーでは)調子も内容も悪いなかで、課題の後半で粘れたのは良かった」
※16日の大会記録の更新に基づき、一部修正しました。
(取材・文/荒木美晴)