19日から福岡県飯塚市で開催されていた「第25回飯塚車いすテニス大会(ジャパンオープン)」が24日に最終日を迎え、男子シングルスで国枝慎吾がステファン・ウデ(フランス)を6-1、6-4で下し優勝。大会4連覇を達成した。
ジャパンオープンは、ITF(国際車いすテニス連盟)公認の「NEC車いすテニスツアー」スーパーシリーズのひとつ。毎年、世界トップクラスの選手が集結する国内最高峰の大会で、今年も男子世界ランキング1位の国枝ほか、北京パラリンピック男子ダブルス優勝ペアのステファン・ウデ、マイケル・ジェレミアス(フランス)や、女子シングルス銅メダリストのフローレンス・グラベリア(フランス)らがエントリーした。
今年で25回目を迎えるジャパンオープンは、いまや飯塚市の初夏の一大イベントとして定着。地元のみならず各地からファンが会場に足を運び、トップ選手の華麗なるプレーの連続に会場は大いに沸いた。
男女とも日本勢が苦戦するなかで、注目を集めたのは先月、プロ転向を表明した国枝だ。斎田悟司と組んだダブルスでは、22日のセミファイナルでウデ・ジェレミアス組と激突。1セット目は一時2-5と追い込まれるが、そこから挽回し、タイブレークの末、奪取。2セット目はふたりの息があったコンビプレーを発揮して5-1と優勢を保つが、なんとここから6ゲーム連続で落として逆転された。10点先取のスーパータイブレークでも、互いに一歩も譲らぬ接戦に。ミスをした方が負け、というまさに精神力勝負の戦いは、ここ一番で強気のリターンエースなどを繰り出したウデ組に軍配。惜しくも決勝進出はならなかったが、会場からは激闘を称える大きな拍手が送られた。
また、最終日の24日には、国枝対ウデのシングルス決勝が行われた。1セット目は6-1で国枝。2セット目に入ると世界ランキング2位のウデが、意地を見せる。コースを読んでまわりこんで打つ強烈なフォアハンドや、緩急をつけたショットなど試合巧者らしいプレーでポイントを縮めた。しかし、国枝も得意のバックハンドトップスピンや、今シーズン重点的に強化してきたフォアハンドを決めて、確実にゲームをコントロール。最後は40-0と追い込み、見事なサービスエースで試合を締めた。
「自分を育ててくれた大会」という思い出深いジャパンオープンで、圧巻の4連覇を達成。国枝は「四大大会とこのジャパンオープンにかけているので、正直嬉しいです」と胸の内を明かした。
「北京以降、自分への注目が高まるなか、プレッシャーも感じていましたが、こうしてたくさんのお客さんの前で勝てたことが嬉しいです。2セット目からウデ選手も調子が上がってきて、お互いに高めあい、良い試合ができました。見てくださった方には、車いすテニスの魅力が伝わったと思います」と話し、プロ選手としての役割を果たせたことにも笑顔を見せた。
優勝者は次のとおり
【男子】
シングルス 国枝慎吾(日本)
ダブルス ステファン・ウド/マイケル・ジェレミアス(フランス)
【女子】
シングルス フローレンス・グラベリア(フランス)
ダブルス ダニエラ・ディトロ(オーストラリア)/フローレンス・グラベリア(フランス)
【クアード】
シングルス デビット・ワグナー(アメリカ)
ダブルス サラ・ハンター(カナダ)/ピーター・ノーフォーク(イギリス)
(原稿/荒木美晴 撮影/吉村もと)