【東京2020】男子車いすバスケは準決勝でイギリスを下し、決勝進出!

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この試合、香西宏昭の3ポイントは3本。成功率は驚異の100%!=有明アリーナ(撮影/佐山篤)

〈東京パラリンピック〉車いすバスケットボール/男子準決勝/日本79―68イギリス(9月3日、有明アリーナ)

車いすバスケットボール男子準決勝に出場した日本は、リオ大会銅メダル、2018年の世界選手権で優勝したイギリスを79―68で下し、日本の車いすバスケ史上初の快挙、決勝に駒を進めた。

「ディフェンスで世界に勝つ」――日本が高さとパワーで敵わない海外勢と戦うには、守備を徹底的に固めるしかない。そのためにはコートにいる全員が40分間走り続けるという並外れたハードワークが必要となる。それをチーム全員がやり遂げた。

決勝進出をかけた大一番。イギリスがタップオフ直後に2点、続けてフリースローで1点を得点するが、日本はすぐに秋田啓(あいおいニッセイ同和損害保険)の3ポイントシュートで同点に。その後攻防を続けながらも、イギリスはパワーと確実なシュートで得点を積み重ね、第1クオーター終了時点で15―23と8点の差をつけられる。

続く第2クオーターもイギリスが先制するが、直後に香西宏昭(プロ車いすバスケットボールプレーヤー)が3ポイントシュートを決めて、流れを引き寄せた。その後、日本は着実に得点を重ね、第2クオーターは33―36と3点差まで追い上げて前半を終える。

そして第3クオーター、日本の反撃が始まった。開始早々、古澤拓也(WOWOW)が2連続得点を決めて逆転すると、イギリスは司令塔のギャズ・ショウドリーらが食い下がるが、鳥海連志(WOWOW)がゴール下のカメラ席に突っ込んだことに象徴される気迫あるプレーを全員が見せ、52―48と日本がリード。

第4クオーターは香西の先制からシーソーゲームになるが、日本がフリースローから続けて得点すると、イギリスベンチはたまらずタイムアウト。だが、タイムアウト明けも香西が得点し、日本は最後まで攻撃の手を緩めることなく、79―68と11点リードで勝ちきった。

「最高!」涙のあとは笑顔があふれた選手たち

アテネ大会からパラリンピックに出場し、長年日本チームを牽引してきた藤本怜央(SUS)は、試合終了のホイッスルが鳴る前から、目に浮かぶ涙を必死にこらえようとしていた。「歴史が変わる瞬間」を目の前にして、これまでの努力やともに戦ってきた先輩たちの顔が頭に浮かんだのだという。

同じく目を赤くした鳥海は、リオ大会からの苦しい時期を振り返りながら、「最高。この5年が報われたこと、決勝でアメリカにチャレンジできること、いろんな意味でうれしい」と喜びを噛みしめ、キャプテン・豊島英(WOWOW)は「気持ちで負けず、最高のパフォーマンスでアメリカ戦に臨みたい」と意気込みを語った。

決勝は大会最終日の5日。夢見た最高の舞台は整った。

取材・文/山本千尋、撮影/佐山篤)