2020東京パラリンピック, NEWS, パラカヌー — 2021/9/5 日曜日 at 1:13:51

【東京2020】カヌー瀬立モニカは地元・江東区の会場で奮闘、7位

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決勝では準決勝より約2秒タイムを縮めたが、スタートがふるわず結果は7位に=海の森水上競技場(撮影/佐山篤)

〈東京パラリンピック〉カヌー(スプリント)/女子 KL1 200m決勝(9月4日、海の森水上競技場)

瀬立モニカ(筑波大学)がカヌー(スプリント)女子 KL1 200m決勝に出場し、金メダルを目指して挑んだが、7位(57秒998)という結果で2回目のパラリンピックを終えた。

海外選手とのレースは2年ぶり。リオ大会では上位2名の力が飛び抜けていたが、全体的に競技レベルが上がってきたなかで、瀬立は力みから得意のスタートダッシュがうまくいかず、メダルに届かなかった。

初出場のリオ大会は8位。悔しさを経験したあと、東京大会で雪辱を晴らすことが生きる目標になっていた。だからこそ、今回の結果にショックは大きいが、「これが実力」「これだけやってもメダルを取れないのか」というパラリンピックという特別な舞台で勝つことの厳しさを感じたという。

今大会では何があっても泣かないと決めていた。それは多くの支えてくれた人に、涙を見せるのは失礼だと思ったからだ。インタビューに気丈に答えていた瀬立だが、今後の目標について話すうち、「カヌーはメダルを取らないと終われない……」と口にしたとたん、こみあげてくるものがあったのか、突然涙声になった。

リオから5年、前夜はほとんど眠れなかったという瀬立

レース後、瀬立はしばらく水上にとどまっていた。結果はともあれ「自分が目指してきた夢の舞台の余韻にひたっていたい」、そんな思いで地元の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

昨年4月に復学した大学は、今年卒業。その先の新たな目標として掲げたのは、医学部に入り医師になること。これからパリ大会に向けての3年は、医学部の受験勉強と並行しながらの挑戦となる。

(取材・文/山本千尋、撮影/佐山篤)