イタリアに1-5、日本は再びBプールに降格

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試合終了後に観客席に向かって挨拶する日本代表。悔しさが表情ににじむ=HARBORCENTER/撮影:吉村もと

アイススレッジホッケー世界選手権は30日、予選A・B両グループの下位2チームによるクロスオーバーゲームが行われた。予選グループA4位の日本はグループBのイタリアと対戦し1-5で敗れた。

この試合に勝てばAプール残留、負ければBプール降格という大一番。先制点がほしい日本はファーストラインのセンターフォワードにユーティリティプレーヤーの三澤英司を起用。攻撃的な布陣で試合に臨んだ。

長く主将としてチームを引っ張るChiarottiが第1ピリオドに2得点

ところが立ちあがりの波に乗れず、徐々にペースはイタリアに。6分53秒、日本ゴール前の混戦からAndrea Chiarotti(FW)に先制点を許すと、日本のパワープレーの場面でも攻撃の形が作れず、11分41秒に再びChiarottiに追加点を入れられた。

第2ピリオドには日本のペナルティにより一人少ない場面で3点目を献上。その後は2度のパワープレーチャンスでも攻めきれずにいた日本だったが、残り6秒、相手ゴール前でのフェイスオフで日本がパックをキープ、須藤悟(DF)のゴール前へのパスに熊谷昌治(FW)がワンタッチで合わせて1点を返した。

2ピリ、中村稔幸のシュートは惜しくもポールにはじかれ追加点ならず

最終ピリオド7分56秒に4点目を失った日本は、ゴールキーパーを永瀬充から望月和哉に交代。その直後に望月がパックを見失って失点。その後は何とか攻撃の形を作る日本だったが、決定打を出すことができなかった。

日本は2012年世界選手権で7位に終わりBプールに降格。翌年のBプール世界選手権で2位に入り、1年でAプール返り咲きを決めていた。だが、その今大会の日本の順位は7位以下となり、二度目のBプール降格が決まった。

イタリアは初戦で戦ったカナダのように強烈なチェックやスピードがあるチームではない。だが日本は終始リズムがつかめず、パスの精度が低いままだった。それをイタリアに冷静に読まれてカットされ、逆にチャンスを与える場面が目についた。予選から同様のミスが多々あったにも関わらず、修正できなかったことが悔やまれる。

ファーストラインでプレーした三澤は、「5人とも走れるプレーヤーなので、アタッキングゾーンでプレーする時間がこれまでより増えると思ったんですが……、うまくいかなかった」と唇を噛んだ。またキャプテンの須藤も、「(6位入賞という)チーム目標に届かなかった」と表情をゆがめた。また、最終戦となる5月2日の順位決定戦に向けては、「来季以降、再びBプールから上がるにしても、今大会を7位で終わるか8位で終わるか、このひとつの差は大きい。すべてのミスを減らして、明後日の試合は勝ちたいと思います」と前を向いた。

ドイツがパラ5位のチェコを破りAプール残留!

チームの士気を高める鮮やかな決勝点を挙げたドイツのFelix SCHRADER

もう一試合は、予選グループA3位のチェコとグループB4位のドイツが対戦。序盤はチェコが攻め上がる展開に。堅守でゴールを割らせなかったドイツは第2ピリオド9分19秒、チェコゴール前でパックをまわし、相手ディフェンスのポジションが甘くなったところをついてFelix Schrader(FW)が待望の先制点を挙げた。その後、チェコは猛攻をしかけるが、結局これが決勝点となり、ドイツが1-0で勝利した。試合終了のブザーとともに、選手やスタッフらは抱き合って喜びあった。

ドイツは2013年に長野で開催されたBプール世界選手権で優勝し、2位の日本とともにAプール復帰を決めて今大会に臨んでいる。トリノパラリンピックでは4位と、もともと自力のあるチームだが、09年の世界選手権で8チーム中最下位に沈み、Bプールに降格。バンクーバーパラリンピック出場も逃した。その後、台頭してきたロシアなどに押され、12年の大会でもAプール復帰を逃すなど、苦難の道のりを歩んできた。今大会、予選リーグでは全敗して得点「0」とAプールの壁にぶつかったが、残留をかけた大事な試合で価値ある「1点」を挙げた。

チェコは08年にBプールで2位に入り、翌年にAプールに初出場。バンクーバー、ソチパラリンピックともに5位に入っている。この数年、安定した成績を残していたが、無念のBプール降格に肩を落とした。

■30日の試合結果

今大会初めて流れた国歌斉唱後、喜びを爆発させるドイツチーム

チェコ 0-0-0=0
ドイツ 0-1-0=1

イタリア 2-1-2=5
日本 0-1-0=1
(日本得点:①熊谷 A須藤、高橋)

※ドイツとイタリアがAプール残留、チェコと日本がBプールに降格

(取材・文/荒木美晴、写真/吉村もと)

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