アメリカが盤石の強さでカナダ下し、2大会ぶり優勝!

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世界最高レベルの実力を存分に見せつけたアメリカが2大会ぶりの優勝=HARBORCENTER/撮影:吉村もと

アメリカニューヨーク州バッファローで行われているアイススレッジホッケー世界選手権は3日、最終日を迎えた。カナダ対アメリカの決勝戦は、3-0でアメリカが優勝した。ノルウェー対ロシアの三位決定戦は、ロシアが今大会初の延長戦を制して銅メダルを獲得した。

決勝戦/カナダ 0-3 アメリカ

Daniel McCoyが、ゴール前の混戦から出たパスに瞬時に反応し2点目

前回王者のカナダとソチパラリンピック金メダルのアメリカの対戦となった決勝戦。アメリカは序盤からスピードを活かして積極的にアタッキングゾーンに攻め上がり、幾度とカナダゴールを脅かした。対するカナダは、ゴールキーパーCorbinWatsonが機敏に対応。守備陣も徹底して守りを固め、アメリカにゴールを割らせなかった。

ともに無得点のまま、試合は最終ピリオドに突入。2分58秒にアメリカのDeclan Farmer(FW)が先制点を挙げると、続く7分16秒、カナダゴール前のディフェンスの間を通す矢のようなパスに反応したDaniel McCoy(FW)がスライドシュートで2点目を入れた。

カナダの厳しいマークにあうJoshua Pauls(中央)

反撃に出たカナダは、試合終了間際にゴールキーパーをあげて6人攻撃をしかける。しかし、ニュートラルゾーン付近で混戦からアメリカにパックを奪われ、万事休す。Joshua Pauls(DF)が放ったパックは、誰もいないゴールにするすると吸い込まれた。

試合終了のブザーが鳴ると、会場は「USA!」の大合唱。同時に、激闘を終えた両チームに大きな拍手が送られた。アメリカの優勝は2012年ハーマル大会以来、2大会ぶり。

カナダは無得点に終わったが、それでもスピード、ハンドリング、ドリブルともレベルの高さを見せつけた。世界をけん引するアメリカとカナダのスレッジホッケーは、観る者を楽しませる華がある。まさに、アイスホッケーのそれと同じだ。彼らの進化は、今後もスレッジホッケー界全体のレベルを引き上げていくはず。北米の“2強”時代に、どの国が割って入るか。今後の各国の取り組みに注目していきたい。

3位決定戦/ノルウェー 1-2 ロシア

ロシアのIlia Volkovが延長戦で鮮やかな決勝ゴール!

銅メダルをかけた戦いは激しく攻守が入れ替わり、互いに決定打が出ない展開に。均衡を打ち破ったのはロシア。第1ピリオドの終了48秒前に、ゴール裏からパックをつなぎ、相手ディフェンスラインを崩したところでSergei Panfilov(FW)が先制点。

対するノルウェーは第2ピリオド、ロシア陣地に切り込み、パックをキープ。粘って出したパスにゴールほぼ正面に詰めていたJan Roger Klalegg(FW)が反応して豪快なシュートを決めた。

その後は互いに追加点を挙げられず、試合は今大会初の延長戦に突入。序盤はやはり小康状態が続くが、ついに6分53秒、ここまで通算3ゴールをマークしているロシアのIlia Volkov(FW)が鮮やかな決勝点を叩きこみ、ロシアを勝利に導いた。

ノルウェーはJan Roger Klakeggの一発で追いつくが惜しくも敗戦

■3日の試合結果

<3位決定戦>

ノルウェー 0-1-0-0=1
ロシア 1-0-0-1=2

<決勝戦>

カナダ 0-0-0=0
アメリカ 0-0-3=0

■最終順位

日曜の午後2時半から行われた決勝戦。会場は満席で、立ち見する人の姿も

優勝 アメリカ
2位 カナダ
3位 ロシア
4位 ノルウェー
5位 イタリア
6位 ドイツ
7位 チェコ
8位 日本

(取材・文/荒木美晴、写真/吉村もと)

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