NEWS, 陸上 — 2021/2/22 月曜日 at 20:32:24

プロ転向の佐藤友祈が会見「諦めなければ必ず道は開ける」

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プロに転向し、都内で記者会見を開いたパラ陸上の佐藤友祈(オンライン会見のスクリーンショット)

パラ陸上男子T52クラスの400mと1500mなど4種目の世界記録保持者で、東京2020パラリンピックでも金メダル獲得の期待がかかる佐藤友祈が、2月1日付でフォント制作会社の「株式会社モリサワ」と所属契約を結び、プロに転向。22日にオンラインで記者会見を開き、パラまで半年のタイミングでプロ転向を決断した理由や東京大会への想いを語った。

佐藤は静岡県藤沢市出身。21歳の時に原因不明の病に倒れ、車いすユーザーになった。2012年のロンドンパラリンピックでアスリートが活躍する姿に感銘を受けて競技を始め、15年に岡山市のグロップサンセリテに入社。同社が立ち上げた実業団チーム「WORLD-AC」の中心選手として活躍し、16年のリオパラリンピックでは400mと1500mで銀メダルを獲得している。

会見で佐藤は「いまはコロナ禍であらゆる制限を受け、暗いニュースばかりで前を向きづらい状況。自分が障害を負ったときもそんな心境だったけれど、パラリンピアンの活躍を映像で観て光を見出し、スポーツには人の気持ちを奮い立たせる力があると感じた。夢や目標というものは諦めなければ必ず道は開けると思った。きれいごとに聞こえるかもしれないけれど、出来ないことより出来ることを数えるほうが楽しい人生になる。自分もプロとして活躍、成功することで人々を笑顔に与えたいと思い、決意した」と、プロ転向の理由を明かす。

今後の練習拠点は岡山のままとし、コーチやトレーナーらとチームを組み、強化を図っていく。プロになったことで練習時間もこれまでと比べて倍近く増えたという。パラリンピックまであと半年というタイミングで退路を断った佐藤。「リスクはそれほどないと思っている。逆に成長できる大きなきっかけになると、ワクワクしている」と話し、笑顔を見せた。

1年前は「コロナ禍でのパラリンピック開催は困難なのでは、と不安がよぎった」が、中止ではなく延期となったことですぐに気持ちを切り替えられたという。この1年間を調整の時間に充て、リオ以降継続してきた心肺機能や持久力の強化トレーニングをさらに積み、持ち味の中盤からの加速に磨きをかけてきた。

パラリンピックでは400mと1500mの2種目でさらに世界記録を更新し、金メダルを獲得すると断言する。「目標というより、必ず獲る。残り半年でさらに力を上げていけると信じている」と力強く語った佐藤。ブレない信念を胸に、自分の道を邁進していく。

(取材・文/荒木美晴)