ボッチャ — 2022/8/21 日曜日 at 12:50:14

ボッチャ強豪国も参戦! 駆け引きと高精度の投球に観客から拍手

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準優勝の中村は「今後は自信を持つことを忘れずに攻めていきたい」と語った=駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場

「2022ジャパンパラボッチャ競技大会」が20日から2日間にわたって、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場で行われた。国内アスリートに加え、タイと韓国からも選手を招待。有観客での開催となり、緻密な戦略と高い投球技術から繰り広げられる熱戦に、観客から大きな拍手が送られていた。

ボッチャは男女混合競技で日本は強豪国のひとつ。パリ2024パラリンピックからは、男女別の個人戦が採用される予定で、女子選手の育成と強化が進められている。今大会は3クラスで男女別個人戦を実施した。

女子個人BC1は、遠藤裕美(福島県ボッチャ協会)とキム・ユナ(韓国)が対戦。遠藤は初戦をタイブレークの末に落としたが、2戦目は9-0と完勝し、リベンジを果たした。男子個人BC1は、3人のリーグ戦を実施。東京パラリンピック日本代表の中村拓海(愛徳福祉会 大阪発達総合療育センター)は長谷川岳(福島県ボッチャ協会)に勝利したが、キム・ドジン(韓国)戦ではタイブレークで敗れた。先行されながら第3エンドに3点を奪って逆転したが、第4エンドで追いつかれた。タイブレークの投球も精度を欠いた中村は、「悔しい。失敗してもいいから思い切っていこうと臨んだが、消極的になってしまった」と反省を口にした。

男子個人BC4は、内田峻介(大阪体育大)が東京パラリンピック日本代表の古満渉(広島市役所)に2連勝し、優勝を果たした。3選手がエントリーした女子個人BC3は、東京パラ銀メダルの田中恵子(ゴーゴーカレーグループ)が全勝優勝。同じく3人のリーグ戦が行われた男子個人BC3は、ともに1勝同士の高橋和樹(フォーバル)とクォン・ジョンホ(韓国)との一戦に注目が集まり、ミリ単位の攻防の末、高橋は1-5で敗れた。

メダリスト対決となったエキシビションマッチ後、互いに笑顔で健闘を称える杉村(左)とセンアンパ

男女混合BC2は、東京パラリンピックチーム戦金メダリストのワラウト・センアンパ(タイ)が2勝して優勝。ワラウトは東京パラリンピック個人戦で金メダルを獲得した日本のエース、杉村英孝(伊豆介護センター)とのエキシビションマッチにも登場。試合は第1エンド、杉村がラスト1球でジャックボールとセンアンパのボールの上に乗せる必殺技「スギムライジング」を決めて先制。第2エンドも攻防を制して2点を追加したが、第3エンドで距離のある投球にミスが出て4失点。最終エンドでも追加点を許し、メダリスト対決は3-5で敗れた。

杉村はエキシビション後、「韓国とタイの選手が参加してくれたおかげで、火ノ玉ジャパンとしても強化できた」と、両国の選手に感謝の言葉を述べた。

また、世界で圧倒的な強さを誇るタイについて、「ワラウトとワチャラポン(・ボンサ=今大会はエントリーしていたが不参加)、彼らの壁を越えていかないとパリでは金を獲れない。今日のエキシビションは相手のショート、ロングの投球に対応しきれなかったが、課題がはっきりした。また、彼らはいつも、真剣勝負のなかでもボッチャを楽しんでいる。その姿勢は大事だと思うので見習いたい。収穫ある一戦だったし、次の大会につなげたい」と振り返った。

(取材・文・撮影/荒木美晴)