ゴールボール — 2016/10/18 火曜日 at 16:15:10

ゴールボール女子予選はTEAM FUZOKUが制す

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大会を通して失点はわずかに「1」。鉄壁の守備で試合を制したTEAM FUZOKU=守山市民体育館
大会を通して失点はわずかに「1」。鉄壁の守備で試合を制したTEAM FUZOKU=守山市民体育館

11月に東京で開催される日本選手権の出場権をかけた「日本ゴールボール選手権大会女子予選大会」が15・16日の2日間にわたって、滋賀県の守山市民体育館で行われた。全国から5チームが出場。総当たりの順位決定リーグ戦の結果、上位4チームが日本選手権の出場権を獲得した。

リオパラリンピック代表選手が存在感

各チーム2試合ずつ、5試合を行った初日は2連勝したチームがなく、混戦模様に。2日目は、まず国リハLadiesチームむさしずく、TEAM FUZOKU、九州なでしこが勝利。その結果、勝ち点3が挙げられなかったMER×MIXは最下位となり、出場権を逃した。

第4試合、ここまで1勝1敗1分の国リハLadiesチームむさしずく対1勝2敗のMoonLusterのカードは、国リハLadiesチームむさしずくが先制点。その後も、リオパラリンピック代表の安達阿記子が攻撃の柱として多彩な投球で流れを引き寄せ、5-0で勝利した。

鉄壁のディフェンスに観客も釘付け

リオでセンターを務めた九州なでしこの浦田は、オフェンスでもチームに貢献
リオでセンターを務めた九州なでしこの浦田は、オフェンスでもチームに貢献

続く第5試合は、前回優勝のTEAM FUZOKUがリオパラリンピック代表の浦田理恵と小宮正江を擁する九州なでしこと激突。ここまで互いに2勝1分とし、勝ち点「7」同士。強豪同士の対決は、序盤からともに守りに徹し、どちらも点を与えない緊迫したゲーム展開に。

試合が動いたのは、後半残り6分を切った場面。TEAM FUZOKUのライト・天摩由貴が相手ディフェンスの足先を狙った冷静な投球で得点。貴重な先制点を挙げた。対する九州なでしこも、小宮のスピードのある投球でゴールを狙うが、最後まで相手の鉄壁の守りを崩すことができなかった。

値千金のゴールを決めて勝利に貢献した天摩は、「ウイングとしては点を取ってチームを楽にしたかった。イメージ通りの展開はできたと思う」。リオパラリンピックから帰国後は体力が落ちたといい、「元に戻すのにこの1か月必死でした」と振り返る。11月の日本選手権に向けては、「イージーミスをしないこと」と課題を口にする。

事実上の決勝戦は白熱し、観客も固唾をのんで見守っていた。観客のひとりは、「あのスピードとコントロールは、見えていないとは思えない。体験の機会があれば、ぜひ挑戦してみたい」と興奮気味に話していた。

敢闘賞に安室早姫、最優秀選手賞に天摩由貴(いずれもTEAM FUZOKU)が選ばれた。

晴眼者もともに戦えるゴールボール

晴眼者の高校生・蒲田(左)と徳永(中央)も攻守に大活躍
MoonLuster晴眼者の高校生・蒲田(左)と徳永(中央)も攻守に大活躍

ゴールボールはアイシェード(目隠し)をして行う。視覚に障がいがある人のスポーツだが、日本選手権や予選会は障がいのない晴眼者もチームの一員としてエントリーが可能だ。主催者によると今大会は5名が晴眼者で、MoonLusterは18歳の高校生・鎌田紗耶伽と徳永梨沙が出場した。

ふたりは東京都東久留米総合高の生徒で、高校1年のときに同校教員でチームの池田貴コーチに声をかけられ、競技を知ったという。ボランティアや体験を通して、「見えなくてもコミュニケーションが取れる世界」(徳永)に惹かれ、選手として大会にも出場するようになった。今大会、チームは4位でフィニッシュし、日本選手権の出場権を得た。「選手権では去年(3位)より上の成績を取りにいきます」(鎌田)と力強く抱負を語っていた。

また、会場となった守山市でも、日本ゴールボール協会副会長でもある西村秀樹さんらが競技の普及活動に力を入れている。2015年6月から「守山ゴールボール」として体験などを実施し、メンバーは15名まで増えた。そのうち、視覚に障がいがある人は3人で、それ以外は晴眼者だといい、「それが狙い。一緒に競技をすることが普及にとって大切」と西村さんは話している。

日本選手権は11月26〜27日に東京都の青梅市で開かれる。予選会を勝ち抜いた男子8チーム、女子4チームがしのぎを削る。

(取材・文・撮影/荒木美晴)