4年ぶりの開催となるパラ卓球の国際大会「木下グループ ITTF JAPAN PARA OPEN 2023」が30日、東京体育館で開幕した。ITTF(国際卓球連盟)の公認大会で、パリ2024パラリンピック出場のためのポイント獲得対象大会となっており、世界11の国と地域から、130人を超える選手がエントリーしている。
31日は男女各クラスのシングルスが行われ、男子クラス7は最新の世界ランキング3位で第1シードの八木克勝(琉球アスティーダ)がグループリーグと準決勝を勝ち上がり、決勝に進出。PUNPOO Chalermpong(タイ)を3-2(7-11,11-5,8-11,12-10,11-6)で下し、優勝を果たした。第4ゲームは8-7と1点リードの場面から3連続で失点し、先にチャンピオンシップポイントを握られるが、そこから4連続得点で逆転に成功。最終ゲームはその勢いを維持して勝ち切ると、その場に倒れこみ、雄叫びとともにガッツポーズを作って喜びを爆発させた。
東京パラは力負けを実感。大会後、パリ大会を見据えてより攻撃的なラバーに変え、今季は5月のモンテネグロオープン、7月の台湾(台中)オープンを制すなど結果につながっているという八木。「ショットの精度をもっと上げて、10月のアジアパラでは優勝を狙う」と、力強く語った。
2021年のアジアユースパラでパラ卓球の国際大会デビューを果たした男子クラス10の舟山真弘(早稲田大)は、グループリーグを全勝とし、昨年9月のフィンランドオープン以来の優勝に笑顔を見せた。男子クラス9の岩渕幸洋(協和キリン)は、決勝で東京パラ銀メダリストのMA Lin(オーストラリア)と競り合うが、1-3で敗れて準優勝だった。
また、車いすは男子クラス2の宇野正則(コスモトレードアンドサービス)が2位、クラス5は土井健太郎(D2C)と中本亨(ドマーニ卓球クラブ)がそれぞれ3位に入った。もっともエントリーが多いクラス3は、日本勢では北川雄一朗(関西福祉大)が唯一、決勝トーナメントに進出。準々決勝で惜しくも韓国人選手にフルゲームの末に敗れてメダルには届かなかったが、存在感を見せた。
女子は、知的クラスの櫨山七菜子(青葉クラブ)が決勝で山口美也(絆サンセリテ滋賀)を3-2(6-11,11-9,5-11,16-14,11-8)を下した。互いに手の内を知る相手との激闘を終えた櫨山は試合後、「相手は強いので自分から向かっていく気持ちでやった。優勝できてうれしい」と涙ぐんだ。
東京パラ代表の女子クラス10の中村望(花野井クラブ)は、グループリーグで格上のLIN Tzu Yu(台湾)を逆転のフルゲームで下して決勝トーナメントに進出。決勝では世界ランク1位のYANG Qian(オーストラリア)にストレートで敗れたものの、堂々の銀メダルを獲得した。「自分のガッツあるプレーを見せられたのは良かった。課題のサーブレシーブの強化と、下半身を重点的に鍛え、パリ大会を目指したい」と、言葉に力を込めた。また、クラス8-9は友野有理(タマディック/村上ジュニア)が3位に入った。女子車いすクラスは表彰台を逃した。
大会3日目からはダブルスが行われる。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)