車いすテニス — 2020/1/29 水曜日 at 21:42:42

【全豪OP】国枝、上地が4強入り、デ グロートは初戦敗退

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女子シングルス1回戦で難敵・ワイリーをストレートで下した上地結衣=オーストラリア・メルボルンパーク(撮影/植原義晴)

全豪オープンテニスは29日、車いすの部がスタートし、男子シングルス世界ランク1位の国枝慎吾(ユニクロ)は同6位のニコラス・ペイファー(フランス)を6-4、6-4で下し準決勝に進出。また、女子シングルス第2シードの上地結衣(三井住友銀行)は、ジョーダン・ワイリー(イギリス)を6-2、7-6(5)で破った。

上地は粘りのプレーでワイリーに勝利

上地とワイリーは、今年に入ってからすでに2大会の決勝で対戦。全豪オープンで3連戦となり、ワイリーが戦略を変えてくるなか、上地は相手の動きを冷静に分析し、第1セットを先取。第2セットは互いにサービスゲームをキープする展開が続き、タイブレークにもつれこむが、我慢のプレーを貫いた上地がポイントを取り切った。「とくにセカンドセットで、リターンゲームでリードしていたのに、そこから巻き返されて取られるゲームが多かった。もうちょっと締めていかないと」と、試合を振り返った上地。準決勝に向けて修正を誓う。

調子が上がらないまま一回戦で敗れたデ グロート

世界ランク1位で大会2連覇中のディーダ・デ グロート(オランダ)は、1回戦でグランドスラム初出場の朱珍珍(中国)に6(3)-7、6-3、5-7で敗れた。朱はファイナルゲームの第10ゲームはマッチポイントを握りながらデ グロートに巻き返されたが、調子があがらない相手に対し、粘りのプレーで最後まで食らいつき、勝利を手繰り寄せた。「グランドスラム初戦を勝利で飾れて嬉しい。私にとって一番良い試合だった」と振り返った朱。この勢いをキープし、さらに上位へと駒を進めることができるか、注目だ。

国枝は10度目のタイトルに向け前進

接戦を勝ち切った国枝慎吾。勝利の瞬間、ガッツポーズを作った

今年一戦目の「ツイーズヘッズ車いすテニス選手権(オーストラリア)」で優勝し、約半年ぶりに世界ランク1位に返り咲いた国枝。今大会は第1シードで挑んでいるが、実力が拮抗している男子においては、「誰が優勝してもおかしくない。シードはほとんど関係ない」と話し、ライバルたちのレベルアップを警戒する。

今日の試合も、ペイファーのサーブのラインが読み切れず、序盤からシーソーゲームに。第1セットを6-4で取って迎えた第2セットも、0-3とリードを許した。だが、ここからが国枝の真骨頂。第4ゲームをブレークすると、集中力のギアを上げて一気に逆転。最後の第10ゲームは、相手に1ポイントも与えず勝ち切った。

「タフな初戦になったけれど、力強いプレーができたので良かった」と語った国枝。30日の準決勝では、ステファン・ウデ(フランス)に勝利したアルフィー・ヒューウェット(イギリス)と対戦する。

日本のジュニア選手が憧れの大会でコイントス

今大会は昨年に続き、テニス・オーストラリアが日本の車いすテニスのジュニア選手8人を招待。29日にはマーガレットコートアリーナでヒッティングする機会に恵まれた。

コイントスの大役を果たし、上地、ワイリー両選手と写真におさまるジュニアの岡選手

また、シニアの試合のコイントスの大役も任され、上地とワイリーの試合を担当した高校1年の岡あずさ選手は、「うまくできました。上地選手からは『ありがとう』と声をかけてもらいました。テレビで観ていた場所に自分がいて、ヒッティングとコイントスという素晴らしい経験をさせてもらい、嬉しかったです」と笑顔を見せていた。

また、男子の国枝対ペイファーの試合でコイントスを行った小学5年の吉田有悠選手は、「すごく緊張しました。将来は国枝選手みたいなプレーヤーになりたいです」と話し、目を輝かせていた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)