「第34回飯塚国際車いすテニス大会(JAPAN OPEN)」が14日に開幕。国際テニス連盟(ITF)公認車いすテニスツアーのグランドスラムに次ぐ、スーパーシリーズに指定されるアジアで最高レベルの大会だけあって、今年も世界のトップランカーが集結している。
3肢以上に障がいがあるクアードクラスのシングルス準々決勝は、世界ランク7位の菅野浩二(リクルート)が同4位のヒース・デビッドソン(オーストラリア)にストレートで勝利。第1セットはタイブレークで相手の4度のセットポイントをしのぎ、第2セットもタイブレークまでもつれ込むも粘り切って勝利を手にした。
頸椎損傷の菅野は上肢にも障がいがあり、これまで男子でプレーしていたが、2020年東京パラリンピック出場を目指し、昨年クアードに転向した。クアードは、チェアワークのスピードが出にくい分、正確なショットや相手の動きを先読みする頭脳プレーで試合を構築するのが特徴だ。菅野はこれまでの男子とはまた違う戦術に苦労しながらも経験を積み、世界ランク7位まで上げてきた。
今日の勝利で、対戦相手のダビッドソンに今年の通算成績3勝2敗と勝ち越した。接戦を勝ち切ったこと、またクアードでは日本勢で唯一、準決勝進出を果たしたことに、自信を深める。17日の準決勝ではリオパラリンピック金メダリストの強敵ディラン・アルコット(オーストラリア)と対戦する。アルコットとの対戦は初で、「どう試合を組み立てるか、どこまで通用するか確かめたい」と話した。
また、女子シングルスでは田中愛美(ブリヂストンスポーツアリーナ)が世界3位でリオパラリンピック銀メダリストのアニク・ファンクート(オランダ)を6-0、6-4で下した。時折、コートを襲う強風に相手がてこずるなか、田中は冷静にリスクの少ないショット選択し、試合の主導権を握った。昨年、この大会で敗れた世界3位にリベンジを果たし、「勝てたことは大きな自信になる」と笑顔を見せた。
日本勢はほかに上地結衣(エイベックス)も準決勝に進出。男子シングルスでは国枝慎吾(ユニクロ)も勝ち進み、17日はファイナル進出をかけ、強敵グスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)と対戦する。
なお、今年の大会から、男子シングルス優勝者に天皇杯、女子シングルスに皇后杯が下賜される。
(取材・文・撮影/荒木美晴)