車いすテニス — 2020/2/2 日曜日 at 20:15:20

【全豪OP】国枝・上地がそろって優勝!国枝は10度目V、上地は単複二冠達成の快挙!

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グランドスラム通算23勝目を挙げた国枝慎吾(左)と、3年ぶり2度目の優勝を果たした上地結衣=オーストラリア・メルボルンパーク(撮影/植原義晴)

全豪オープンテニス車いすの部は2日、男女シングルス決勝が行われ、男子の第1シードの国枝慎吾(ユニクロ)はゴードン・リード(イギリス)を6-4、6-4で、また女子の第2シードの上地結衣(三井住友銀行)はアニク・ファンクート(オランダ)を6-2、6-2のストレートで下し、そろって優勝を果たした。

国枝は2年ぶり10度目の全豪タイトル。四大大会は2018年の全仏以来の優勝で、通算23勝目。上地は3大会ぶり2度目の優勝。今回はダブルスも制しており、全豪では初めて単複2冠を達成した。

第1セットは1-4から巻き返した国枝。ショットの安定性が光った

実力拮抗の男子の頂点を決める決勝戦。試合を有利に進めたのはリード。キレのあるショットで4-1と突き放しにかかるが、国枝は「ウィナーも取れているし自分の調子が悪いわけではない」と、自分の力を信じて、真向から打ち合った。戦況が変わったのは、第6ゲーム。ポイントを先行されるが、バックハンドのトップスピンを決めたのをきっかけにリズムを取り戻すと、そこから一気に5ゲームを取り返した。

第2セットも先にブレークを許して先行される展開に。厳しいコースを狙ってくるリードのショットを持ち味のチェアワークで拾いまくる国枝。じわじわとプレッシャーをかけ、相手のネットプレーにミスが出ると、第6ゲームで初めてサービスゲームをキープしてゲームカウント3-3とタイに戻す。その後も壮絶な打ち合いとなったが、強気を崩さず、競り勝った。

「ずっとスイングの改造に取り組んできた。その自信を持って臨んでいた」と国枝。より攻撃的なフラット系のショットでリードを追いつめることができた。今月21日に36歳になるベテランは「2007年の初優勝の時と今のレベルはまったく違う。そのなかで年々、自分のテニスは良くなっているし、40歳になっても今がベストだと言えるように、努力を怠らずにやっていきたい」と話し、前を向いた。

昨年のウィンブルドンを制したファンクートに完勝する強さを見せた上地

男子に先立ち行われた女子決勝。第3ゲーム、上地はパワーのあるファンクートにリターンエースを決められて先にブレークを許す。第4ゲームですぐさまブレークバックすると、相手のバック側にボールを集め、そこから5ゲーム連続で取ることに成功した。

第2セットは上地がスタートから4ゲームを連取。ファンクートは強打を武器に試合を展開し、上地のチャンピオンシップポイントをしのいでブレークする粘りを見せるが、流れを引き寄せることができなかった。

2019年のウィンブルドンを制したファンクートの速くて重いボールを、上地は精度の高いショットで打ち返した。これまでのように後ろで確実に拾ってつなぐプレースタイルに、高い打点から振り下ろすショットやバックハンドで跳ね飛ばすようなショットなどを組み合わせて、ファンクートを困惑させた。身長143㎝と小柄な上地が体格に勝る海外勢に対抗するための強化が、今大会でひとつの成果としてあらわれた形だ。

昨年は逃したグランドスラムタイトルを手にし、「とても嬉しい」と笑顔を見せた上地。今季はこれで3連勝。「しっかりと準備をしてきた結果だと思う。パラリンピックに向けて一つひとつ戦っていく気持ちを忘れず、このままの調子でいきたい」と、言葉に力を込めた。

※後日、関連コラムを掲載予定です

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)