車いすテニス — 2011/9/12 月曜日 at 13:10:02

【全米オープン】国枝が決勝でウデを2-1で下し、3年連続4度目の優勝!

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男子シングルス決勝で世界ランキング3位のウデを破り、観客席の声援に応える国枝慎吾/撮影:吉村もと

米国・ニューヨークで行われているテニスの全米オープンは大会14日目を迎えた。車いすの部の男子シングルスの決勝は、第1シードの国枝慎吾(ユニクロ)がステファン・ウデ(フランス)を2-1で下して優勝した。第1セットはウデのスピードのあるサーブと絶妙の配球に苦戦して3-6で落としたが、第2セットを6-1、ファイナルセットを6-0で取り、逆転勝ち。今季グランドスラム最終戦を制し、3年連続4度目の栄冠に輝いた。

折れない心で鮮やかな逆転勝ち

073.jpg報道陣のリクエストに応え、優勝カップを高々と掲げる国枝

優勝を決めた瞬間、「オーッ」という大きな叫び声と大きなガッツポーズで感情をあらわにした。今大会の直前に右肘を痛め、毎日痛み止めを飲んで出場していた国枝。グランドスラムというビッグタイトルのプレッシャーと肘の痛みと向き合いながら臨んでいただけに、喜びもひとしおだった。

決勝は、互いのサービスをキープする互角の戦いから始まった。だが、今日の対戦相手のウデのスタートは絶好調。世界ランキング3位でもともと試合巧者のウデだが、この日はさらに強力なサーブと抜群のコントロールが際立っていた。国枝は、第5ゲームではじめてブレークされるとウデの勢いに押されてミスが目立ち、最後まで自分のペースに戻すことができずにこのセットを落としてしまう。

だが第2セットが始まると、“いつも通り”の国枝のプレーが戻ってきた。第1ゲームをブレークすると、観客席にも伝わるほどのすさまじい集中力と、ポイントとなる場面でバックハンドのダウン・ザ・ラインを繰り出す積極的なプレーで、一気に流れを引き寄せた。

実は、「第2セットの途中から肘の痛みが出てきてしまって、“もう少しだけ持ってくれ”と願いながらプレーしていた」と言うが、そんな不安は感じさせなかった。ファイナルセットも早めに攻撃をしかけてリズムをキープ。対するウデも粘って激しいラリーに持ち込むが、力と力の勝負でも国枝は負けなかった。そして最後は圧巻のラブゲームで試合を決めた。

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優勝を決めた直後、コートサイドで見守った丸山コーチの元に駆け寄った

「難しい試合、難しい状況だった。第1セットは勝ちたい気持ちが強すぎたのかもしれない。2セット目は開き直って臨んだ。そして、必ず相手より先にダウン・ザ・ラインを打つという自分らしいプレーができたのがよかった」と試合を振り返った国枝。

その高い技術はさることながら、メンタル面においても世界一であることを、ここ全米で再び証明した。

女子はバーガーが6連覇達成、クアードはワグナーが優勝

同じ時間帯に行われた女子ダブルス決勝は、優勝候補筆頭のエスター・バーガー(オランダ)がアニーク・ヴァンクート(オランダ)にストレートで勝ち優勝。

またクアードシングルスは、3ラウンド制の結果から2勝1敗で並んだデビッド・ワグナー(アメリカ)とピーター・ノーフォーク(イギリス)の優勝決定戦が行われた。試合は、肩を痛めていたノーフォークが第2セットの途中で棄権し、ワグナーの優勝が決まった。

【11日の結果】
●男子シングルス決勝
国枝慎吾2-1【3-6、6-1、6-0】Stephane Houdet(フランス)

●女子シングルス決勝
Esther Vergeer(オランダ)2-0【6-2、6-1】Aniek van Koot(オランダ)

●クアードシングルス優勝決定戦
David Wagner(アメリカ)2-0【7-5、3-1 Ret.】Peter Norfolk(イギリス)

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女子シングルス大会6連覇の偉業を成し遂げたエスター・バーガー

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2連覇を達成し、表彰式では喜びの涙を見せた地元アメリカのデビッド・ワグナー

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)