車いすテニス — 2015/5/18 月曜日 at 1:11:22

JAPAN OPENは国枝&上地が単複優勝!

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大会を支えたボールボーイらと集合写真におさまる優勝者たち=筑豊ハイツテニスコート/撮影:吉村もと

12日から福岡県飯塚市で開催されていた「第31回飯塚国際車いすテニス大会(JAPAN OPEN)」が17日に閉幕。最終日には男女シングルス決勝が行われ、男子は第1シードの国枝慎吾(ユニクロ)がゴードン・レイド(イギリス)を6-2、6-3のストレートで下し、8度目の優勝を飾った。また、女子の世界ランキング1位上地結衣(エイベックス・グループ・ホールディングス)は同2位のアニク・ファンクート(オランダ)を1-6、6-1、6-3のフルセットで破り、三連覇を達成した。

圧倒的な王者の存在感、国枝が8度目V

かねてより「若手の前に立ちはだかる壁でありたい」と話している国枝

20代前半の選手が台頭し、パワーテニスの時代に突入している男子。そのなかでも23歳のレイドは、国枝も注目する若手のひとりだ。フォア、バックともに強打が持ち味。決勝の第2セットはそのストロークに加えて丁寧にコースを突くショットで、一時は3-2とリードする場面も。だが、そこは百戦錬磨の国枝が「ベテランの味」を発揮し、スピードとテクニックで相手のミスを誘うゲーム展開に持ち込み、鮮やかにいなした。

国枝の熟練のプレーを支える“世界一”のチェアワークは健在だ。この試合でも、ライン際の厳しいショットに最後まで食らいつき、自ら流れを引き寄せた。そして、終盤は圧倒的な集中力でコートを完全に支配した。

「若手が伸びてきているなか、彼らよりも自分が一番変わったといえる練習をしてきたし、今のところは、自分が一番成長していると思います」

常に「自分」に挑戦し続ける“王者”の言葉。飽くなき探求心で、昨年に続く年間グランドスラム達成、そして来年のリオパラリンピックに向けて、さらなる進化を誓う。

自分のテニスを追求する上地の挑戦

「試合に勝つのと同じくらい、内容にもこだわりたい」と上地

女子シングルス決勝は、世界ランキング1位の上地と3位のファンクートのカード。世界トッププレーヤー同士の対戦に注目が集まった。最初に主導権を握ったのはファンクート。ベースライン際の深いショットで上地を追い込む冷静な試合運びで第1セットを奪った。第2セットの第1ゲーム、上地がリターンエースなどでブレークに成功すると、ここから一気に逆襲。ファンクートがダブルフォルトを重ねて自らリズムを崩したことも相まって、第3セットも上地のペースに。満員の観客の声援にも背中を押され、逆転勝ちをおさめた。

昨年10月のアジアパラで3位に沈み、今年1月の全豪オープンは決勝で敗れた。「頭で考えていたことが表現できずに落ち込む、という負のスパイラルに陥っていた」と、当時を振り返る千川理光コーチ。全豪後に「もちろん優勝はめざすけど、自分のプレーに納得できるような試合を増やしていこう」とふたりで話し合い、気持ちを切り替えた。現在は、新たに取り組むバックハンドのスピンを強化し、質の高いテニスを追求している。

6月に挑む全仏オープンは、昨年シングルスで初めてグランドスラムタイトルを獲った思い出の大会だ。上地は「今日のようにはいかないと思うので、今後の練習をきっちりとやっていきたい」と話し、赤土のコートに焦点を合わせる。

女子ダブルスは昨年の年間グランドスラム達成ペア、上地・ホワイリー組が優勝

また、16日に行われたダブルスの決勝では、男子は国枝・レイド組が、女子は上地・ホワイリー(イギリス)組が優勝。国枝と上地は単複優勝を果たした。それぞれ全仏オープンでもペアを組むとあって、息の合ったプレーを見せていた。

クァードは新星・アルコットが初優勝

クァード(四肢まひ)のシングルス決勝は、ロンドンパラリンピック銀メダリストのデビッド・ワグナー(アメリカ)とディラン・アルコット(オーストラリア)が対戦。フルセットにもつれ込む接戦は、6-2、2-6、6-3でアルコットが制し、頂点に立った。

今大会を2007年から7連覇を達成しているワグナーを、フルセットの末に破ったアルコット

アルコットは、ジュニアで活躍しながら、17歳の時には車椅子バスケットボールオーストラリア代表として北京パラリンピックで金メダル、またロンドン大会でも銀メダルを獲得した経験を持つ。その後、車いすテニス界でもキャリアを重ね、今年1月の全豪オープンでは世界ランキング1位のワグナーを下して、ついにグランドスラム大会を制覇。今、もっとも波に乗っている選手だ。現在の世界ランキングは2位。クアードで新風巻き起こす24歳のさらなる飛躍に注目が集まる。

(取材・文/荒木美晴、写真/吉村もと)