パリ2024パラリンピックの代表選考を兼ねた「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」が18日、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で行われ、車いすT54の男子5000m決勝で樋口政幸(プーマジャパン)が銀メダルを獲得。パリ大会の代表に内定した。
レースは先頭を変えながらスローペースで進む展開となり、後方から様子をうかがっていた樋口はラスト1周で5位につけた。最後のコーナーの前でインコースからやや外側へと位置を取って4番手に順位を上げ、スピードが加速していくなかで、前を行く2番手の中国と3番手のタイの選手が接触して転倒。外から追い上げをかけていた樋口はぎりぎりのところで交わし、2位でゴールした。試合後、樋口は「正直いって、複雑です。棚ぼた(の2位)なので」としつつも、「パリに出場できたら、全力でいく」と話し、顔を上げた。また、6番手争いをしていた吉田竜太(SUS)はこの転倒に巻き込まれ、途中棄権となった。
(2024年5月19日追記)
世界パラ陸上競技連盟が18日の車いすT54の男子5000mを再レースとし、23日に行うことを決めた。転倒に巻き込まれたタイの選手団から抗議があり、再レースが認められた。19日に日本パラ陸上競技連盟が明らかにした。
上肢障害T47の男子走幅跳は、芦田創(トヨタ自動車)は1本目で6m53をマーク。しかし、2本目と3本目はファールとなり、4本目の試技に進めなかった。試合後、コール直前の練習で右のふくらはぎを痛め、歩くのも大変な状態だったと明かした芦田。「その中でベストを尽くしたので後悔はない」と話した。
また、片下腿義足T64の男子走高跳は、鈴木徹(SMBC日興証券)が2本目で1m82に挑戦するも3度失敗し、記録は1本目の1m77に終わった。この日は踏み切りが合わずに苦戦。パリ大会の出場は厳しい状況だが、来月の日本選手権の結果に可能性を残しており、“ラストチャンス”に挑むつもりだ。2000年のシドニー大会から6大会連続でパラリンピックに出場しているベテランは、東京パラ以降、選手と日本代表のコーチも兼任している。選手としては9月のジャパンパラ競技大会(高松市)を最後に一線を退く意向を示している。
上肢障害T47の女子100m予選は、辻沙絵(日体大)が12秒83で走り、19日の決勝進出を決めた。シーズンベストを更新した辻は、「今季はスピード強化をしてきたのでレースで試したかった。後半はリズムを崩さず走りきれた」と振り返った。脳性まひT38の女子100m予選に出場した高松佑圭(ローソン)は予選敗退だった。
脳性まひT36の男子400m予選は、松本武尊(鎮誠会)がシーズンベストの55秒49をマークし、19日の決勝に駒を進めた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)