「第23回日本ボッチャ選手権大会」の各クラス(男女混合個人)の決勝が1月9日、愛知県豊田市のスカイホール豊田で行われた。
脳性麻痺BC3クラスは、有田正行(電通デジタル)が東京2020パラリンピックのペア戦で銀メダルを獲得した河本圭亮(東郷町施設サービス)を5-2で破って初優勝を果たした。第1エンドで相手のほぼ正面にジャックボールを配置。狙いを定めてボールを寄せ、最後の6投目で硬いハードボールで押し込み、1点を先制した。この日は投球の精度が高く、第3エンドまでに5点を奪取して大量リード。最終エンドで河本に2点を許すが、勝ち切った。
有田は2017年に電動車いすサッカーからボッチャに競技転向。同年の日本選手権で3位に入り、翌年も3位、前回大会は決勝で河本に敗れて2位だった。その後はコロナ禍で思うように練習ができない時期が続いたが、悔しさを糧に、競技アシスタントで妻の千穂さんとともに乗り越え、日本一の座を掴んだ。
大会を振り返り、有田は「これまでは対戦相手にあわせて戦術を作っていたけれど、今は自分のやりたいことがどうすればできるかを考えている。今大会は落ち着いて入れたし、最後まで楽しんで臨めた」と話し、「いやぁ、やっと勝てました。本当にうれしいです」と笑顔を見せた。
脳性麻痺BC2クラスは、廣瀬隆喜(西尾レントオール)が東京パラリンピック金メダルの杉村英孝(伊豆介護センター)に5-1で勝利し、2連覇を達成。また脳性麻痺BC1クラスは、仁田原裕貴(山口県ボッチャ協会)が中村拓海(大阪発達総合療育センター)を3-2で下し、初めて制した。
運動機能障害BC4クラスは、内田峻介(大体大)がパワーを活かしたプレーで江崎駿(Boccia Team Brex)を6-0で破り、初制覇。目に涙を溜め、勝利の喜びに浸った。東京パラリンピックの出場を逃し、期間中は動画サイトやテレビで観戦した。日本代表がメダルを獲得し、「すごく刺激になったし、自分もこの舞台に立ちたいと改めて思った」と振り返る。その目標への一歩となる日本チャンピオンとなり、「まだ課題がある」と気を引き締める。
昨年4月から大阪体育大のアダプテッド・スポーツ部で健常者の学生とともに練習を重ねる。心身向上のサポートも受け、技術練習に力を注ぐ。「コーチや仲間たちに感謝したい。パリパラリンピックとその次を視野に、より一層練習に力を入れていきたい」と力強く話した。
(取材・文・撮影/荒木美晴)