「IWAS車いすフェンシング・ワールドカップ(W杯)京都大会」は14日、競技2日目を迎え、フルーレ女子Bで日本の櫻井杏理(日阪製作所)が銅メダルを獲得した。
予選を全勝の3位で通過した櫻井は、決勝トーナメント初戦を15-4でイタリア人選手に勝利すると、準々決勝ではアメリカ人選手に15-13と競り勝った。
迎えた準決勝の相手は、リオパラリンピックの同種目金メダリストのベアトリーチェ・ヴィオ(イタリア)。両上肢切断で障害は重いが、義手を使い、世界一と称されるスピードが持ち味だ。試合はこのヴィオに主導権を握られる展開に。一時は1点差まで追いついたが、後半に突き放され、11-15で敗れた。「彼女のスピードに対抗しようとしてもかなわない。攻撃に時間をかけて相手の上体を崩したかったけれど、それを読まれて逆に対処されてしまった。準備したプランニングがうまくいかなくても、パーフェクトにできるようにならなければ」と悔しい敗戦に唇をかんだ。
これまでの対ヴィオ戦では、7点をとるのがやっと。それが今回、最高となる11点まで追い上げることができた。中盤に4連続得点などで差を詰められたのは、これまでとは違う成長だ。ヴィオも、「どの選手にも気をつけなければいけないものだが、とくに彼女は油断できないと感じた」と、櫻井の成長に目を見張る。
成長曲線を描く背景には、イギリスでの武者修行がある。今大会直前にも、山本憲一コーチが所属するロンドンのレオンポールフェンシングクラブに渡り、朝から晩まで、健常・車いす問わず、あらゆる国の選手やスタッフと剣を交え、「弱点」だった経験値を養ってきた。
だからこそ、ヴィオの強さは、改めて感じるところでもあり、「実力差は認めざるを得ない」と櫻井。だが、その視線の先はしっかりと2020年に向いている。「自分が頂点に立つためには、倒さなければいけない相手。東京パラまでの残り1年、しっかり戦っていきたい」と話し、さらなる飛躍を誓った。
なお、ヴィオは決勝でVASILEVA Ludmila(ロシア)に逆転負けを喫し、準優勝だった。
エペ男子Bの藤田道宣(トレンドマイクロ)と角田成(夢真ホールディングス)も決勝トーナメントに進出したが、敗退。15日のフルーレで、上位進出を狙う。
(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)