神戸で車いすフェンシングとアイススレッジホッケーの体験教室を開催

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神戸市選手発掘事業
神戸で開催された選手発掘事業。写真はアイススレッジホッケー体験教室の参加者ら=神戸市立ポートアイランドスポーツセンターサブリンク

パラリンピックに興味がある障がいを持った人を対象とした、車いすフェンシングとアイススレッジホッケー体験教室が20日、神戸で開催された。

神戸市社会福祉協議会と障害者スポーツ振興センターが主催する選手発掘事業。車いすフェンシング体験教室は午後1時から神戸市立王子スポーツセンターで開かれ、10歳〜40代までの7名が参加。日本車いすフェンシング協会2015年度強化選手の櫻井杏理選手、藤田道宣選手も会場に駆けつけ、デモンストレーションを行った。

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ルールを教わりながら剣を持つ体験者(右)=日本車いすフェンシング協会提供

車いすフェンシングは「ピスト」と呼ばれる装置に車いすを固定し、上半身のみで競技を行う。日本は2008年北京大会を最後にパラリンピックに出場していないが、今年のリオ、そして2020年東京大会への選手派遣を目指して本格的に再始動。現在は日本における競技発祥の地、京都市内に専用の常設練習場を設け、選手の強化と育成に力を入れている。

櫻井選手は「車いすフェンシングはまだ認知度が低く、競技を見る機会自体が少ないので、こうした体験教室を通して広く知ってもらいたい」。また藤田選手も「競技人口が増えれば全体のレベルも上がっていくので、盛り上げていきたい」と体験教室開催の意義を語った。

神戸市選手発掘事業
アイスリンクは次第に熱気に包まれた

午後7時からは、神戸市立ポートアイランドスポーツセンターサブリンクでアイススレッジホッケー体験教室が行われた。事前に10名の参加希望者があったが、当日は14台の体験用スレッジがすべて埋まる人気ぶり。日本代表を擁する北海道ベアーズと長野サンダーバーズの選手らが指導に当たり、後半にはパックを使ってパス交換などに挑戦した。

参加者の多くが男性だったが、中には女性体験者の姿も。現在は、シッティングバレーボールに取り組んでいるという中学2年の福田悠貴さんは、体験を終えて、「最初は難しかったけれど、優しく教えてもらってすごく楽しかった」と笑顔を見せた。

2010年バンクーバーパラリンピックでは日本代表が銀メダルを獲得したアイススレッジホッケー。もともと競技人口が少ないことがネックだったが、現在は全国でも30名前後に落ち込んでいる。2年後のピョンチャンパラリンピック出場を目指した普及活動と選手発掘が最大の課題だ。日本アイススレッジホッケー協会の小山幸子マネージャーは「今回これだけの方に参加していただいた。開催して終わりではなく、次につなげていきたい」と力強く語る。

障害者スポーツ振興センター副センター長の大久保正樹さんは、「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決まり、メディアにさまざまな情報が流れるようになったにも関わらず、パラスポーツが世間に浸透しているとは言えない。多くの人に知ってもらうには周知活動が不可欠なので、今後も継続していきたい」と話した。

(取材・文/荒木美晴)