杭州2022アジアパラ競技大会は25日、車いすフェンシングの女子エペ個人が行われ、カテゴリーBは櫻井杏里(日阪製作所)が銅メダルを獲得した。
櫻井は5人総当たりの予選プールを3勝1敗で突破し、決勝トーナメントに進出。その1回戦で香港の選手に15-5と圧勝すると、準々決勝では世界選手権で敗れている韓国人選手を15-9で破り、準決勝に駒を進めた。
準決勝では、東京パラ銅メダルのスイサネー・ジャナ(タイ)と対戦。序盤は拮抗した展開となり4-4と競り合うが、そこから相手に連続得点を許し、15-7で敗れた。決勝進出は逃したものの、3位決定戦がないため銅メダルを獲得した。ジャナは金メダルを獲得した。
櫻井は試合後、「前回のジャカルタ大会とは比較にならないくらい、今回はレベルが高い。とくにどの種目も中国勢が猛威を振るっている。ずっと厳しい戦いが続くなかで、韓国の選手にリベンジをしてベスト8を突破し、最低目標だったメダルを獲得できたのはよかった」と振り返った。
東京パラの1年前、右ひじの怪我のため剣を持つ手を右手から左手に変える決断をした。ベスト8に終わった東京パラ後は、拠点とするイギリスで山本憲一コーチとともにリスタートを切った。
復活途中にある今年は、連戦をつづけるなかで4月のW杯フランス大会でエペ個人Bで銀メダルを獲得したのをはじめ、国際大会で5大会連続で表彰台に上がっている。今回のアジアパラ直前の世界選手権でも5位と好位置につける。
「左手に利き手を変えて、ようやく戦えるようになってきた。国際大会で連続メダル獲得は右手の時でも達成できなかったことで、自分のキャリアのなかでもベストシーズンであることは間違いない。今大会も納得いくプレーができたと思う。左だから経験値がない、自信がないというなかでも着実にできることを積み重ねてきて、それが少し形として残せたかな」
来年のパリパラリンピックは「出場が目標ではなく、その先を見据えている」と言い切る。パリの選考レースはいよいよ後半戦に突入する。「一度気持ちを切り替えて、もうひとつ先に行けるように仕上げていきたい」。櫻井の挑戦が再び始まる。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)