聴覚に障がいを持つ人のサッカー・デフサッカーのアジアナンバーワンを決める大会「第4回アジア太平洋ろう者サッカー選手権大会」が4月23日から5月6日までの日程で韓国・昌原で行われ、男子日本代表が準優勝の成績を収めた。また、3カ国が出場した女子は日本代表が優勝。この結果、男女とも2020年に開催されるワールドカップ(W杯)の出場権を獲得した。
9カ国が参加した男子は2つのグループに分かれて予選リーグを行った。グループAの日本はウズベキスタンとマレーシアに勝利、韓国に引き分けて2勝1分とし、予選をトップ通過。準決勝でも好調を維持し、タイに6-1と快勝して決勝に進出した。
その決勝では、地元・韓国と対戦。前半に東海林直広のゴールで先制点を挙げるが、後半に連続失点を許し、逆転負けを喫した。
今大会の代表メンバーは20名。その半数が昨年のデフリンピックを経験している一方で、フレッシュな顔ぶれも多い。新生ジャパンとして“アジア王者”を目標に5度の国内合宿を行い、本番に乗り込んだ。
「チームをひとつにしていくために、あらゆる方法や手段を試した」と話すのは、昨年11月に就任した植松隼人監督。エース背番号「10番」はあえて不在とし、また試合ごとのゲームキャプテン制を敷いたのも、ベンチの指示を待つのではなく、全員がゲームメーカーとしての自覚を持ち、自主的に行動することに期待したものだ。その結果、チームは惜しくも優勝は逃したものの、銀メダル獲得という同大会で過去最高の成績につながった。
「大会期間中はコーチ陣やトレーナーたちに助けられた。(準優勝という)結果に対しては、また一から指導者として学び直し、選手の声も聞き入れながら、デフジャパンを世界一となるレベルに持っていけるよう、日々精進していきます」と植松監督。
GKの松元卓巳は、「結果と内容が求められる大会で、大会前は不安もありました。その中で準優勝という結果を残せたのは、最後まで諦めないこと、ベンチワークも含めたチーム力が日に日にまとまってきたからだと思います。ただ、決定力不足とセットプレーの守備といった課題もはっきりしました。日本でこの課題を克服して、ワールドカップ優勝を目指します」とコメントした。
また、女子は日本、韓国、ネパールの3カ国が出場。総当たり戦を行い、日本が全勝して初代アジア王者に輝いた。
(情報提供/一般社団法人日本ろう者サッカー協会、編集/荒木美晴)