「ヒューリック・ダイハツ BWF パラバドミントン世界選手権2022」が11月1日、開幕した。舞台は昨年の東京2020パラリンピックと同じ、国立代々木競技場第一体育館。初日は各クラスの予選リーグが行われた。
男子WH1のシングルスにエントリーしている世界ランキング6位の長島理(LIXIL)は、予選リーグ初戦は世界ランキング10位のブラジル人選手と対戦し、21-19、19-21、21-14とフルゲームの接戦を制した。第2ゲームは風の影響もあってクリアが浅くなる場面があり、第3ゲームも序盤はシーソーゲームになったが、コートチェンジを挟んで8連続得点を決めて立て直し、突き放した。
長島は2005年から9大会連続で世界選手権に出場するベテランで、日本の車いすクラスをけん引してきた。これまでにシングルスの銅メダル3個を含め、計12個のメダルを獲得しており、地元開催の今大会では「銅メダル以上の成績を目指す」と、意気込みを見せていた。
初出場の松本はストレート勝利
前日の公開練習に参加した際は「少し緊張している」と話していた世界選手権初出場の男子WH2の松本卓⺒(創政建設)は、初戦でメキシコ人選手に21-7、21-3のストレートで勝利。試合後は、「最初はやっぱり緊張したけれど、シャトルを打っているうちにほぐれていった」と振り返り、笑顔を見せた。
プレー面では、通常のバックハンドのサーブに加え、コントロールを重視したフォアハンドのサーブも組み込むなど、さまざまなショットにチャレンジして試合を構築。その結果、シャトルタッチが甘くなる場面もあったというが、「今日の反省を活かして明日につなげたい」と話し、前を向いた。
今大会、日本勢は3組のダブルスが出場する。そのうち、混合ダブルスSL3-SU5の伊藤則子(中日新聞社)・今井大湧(ダイハツ工業)組は今季からペアを組みはじめたばかりながら、カナダ国際で優勝するなど結果を残している。SL3の伊藤が前衛の1点を守り、そのほかのエリアを上肢障害の今井がカバーするスタイルが特徴で、この日はスウェーデンとノルウェーのSL4同士のペアに対し、随所で息の合ったプレーを見せ、21-14、21-16で勝利した。
伊藤は「大湧君のスマッシュの威力を活かすプレーをしたい。彼はカバー力があるので私は1点に集中できる」と話し、今井も「則さんは反応がよく、勝負強い。僕がきついところで止めてくれる」と、互いに信頼を寄せる。ふたりの強みを活かした連携プレーは、表彰台へのカギになりそうだ。
東京2020パラリンピック男子WH2シングルス金メダリストの梶原大暉(日体大)は、オーストラリア人選手にストレート勝ち。WH1の村山浩(SMBCグリーンサービス)と組むダブルスも勝利した。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)