パラバドミントン — 2023/11/10 金曜日 at 0:36:36

さらなる高みを目指して、今井・伊藤組の挑戦

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SL3-SU5の混合ダブルスで、息の合ったプレーを見せた今井(手前)と伊藤=国立代々木競技場第一体育館(撮影/植原義晴)

「ヒューリック・ダイハツ Japanパラバドミントン国際大会2023」は9日、SL3-SU5混合ダブルスの予選グループ最終戦と決勝トーナメント1回戦が行われた。

日本から唯一出場している今井大湧(ダイハツ工業)・伊藤則子(中日新聞社)組は予選グループ最終戦で、これまで2連敗中のインドのペアと対戦。14-21、22-20、21-19とフルゲームの熱戦を逆転で制した。下肢障害SL3の伊藤が前衛の1点を徹底して守り、残りのエリアを上肢障害SU5の今井がカバーする陣形が特徴のふたり。伊藤は自身の守備範囲に来たショットは確実に捌き、サーブレシーブのポジショニングでも相手にプレッシャーをかけ続けた。今井はシングルスで鍛えたフットワークで縦横無尽にコートを駆けて粘り、相手のミスやチャンスショットを幾度と引き出した。前日の試合でも強敵の中国ペアとフルゲームを戦って初めて白星を挙げていた今井・伊藤組は、これで予選グループ3戦全勝と存在感を示した。

9日は続けて決勝トーナメント1回戦も行われ、今井・伊藤組は予選とは別のインドのペアと対戦。序盤は身長のあるSL3の男子選手の強打やSU5の女子選手の球回しに主導権を握られ8-21とゲームを落とすが、その反省から第2ゲームは前衛の伊藤がさらにサイドライン側に寄るなど、極端な陣形で応戦。相手が戸惑いをみせるなか、今井のスマッシュやドライブもキレを増し、8-11から4連続得点と逆転に成功した。その後は互いに得点を重ねて19-19と接戦となるが、最後はふたりの動きが重なる裏を突かれて19-21で落とした。

今井は、「相手もパワーアップしていて球質もわかりづらいなか、第2ゲームでやり方を変え、流れを持ってこられたのは良かった。それを1ゲーム目からできたらよかった」と振り返る。ただ、この変則的なフォーメーションは相手によっては有効であることを証明し、「精度を上げて、臨機応変に使い分けられたら」と手ごたえを語る。伊藤も同調し、「ここに来るまでの試合でも、苦手意識のある相手に最後まで粘って勝ち切ることができた。戦い方を工夫して最後までできたのは、次につながる」と話し、前を向いた。

また、今井は男子SU5シングルスでも決勝トーナメントに進出。1回戦では5月のタイ国際ではフルゲームで競り勝ったインドの選手に21-14、21-9とストレートで勝利をおさめ、ベスト8に進んだ。準々決勝では、東京パラリンピック金メダリストのCheah Like Hou(マレーシア)に挑む。ここまで10連敗中ではあるが、直近の杭州アジアパラではフルゲームに持ち込む粘り強さを見せた今井。「今季は勝ち切れないことが多い」と話すが、確実に調子は上がっている。チャレンジャーとしてキングを相手にどんなプレーを見せることができるか、楽しみだ。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)