「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2024」が22日、国立代々木競技場第一体育館で開幕した。パリ2024パラリンピック後に国内で初めて開かれる公式戦。33カ国から140人が出場予定で、日本からもパリ代表選手を含め、男子12人、女子12人がエントリーしている。
4年後のロサンゼルスパラリンピックを目指す選手や次世代アスリートにとって、今回はそれぞれの目標にむかう第一歩となる大事な大会といえる。男子WH1シングルスでは、パリ大会の代表選考レースで最後に涙をのんだ西村啓汰と、昨年のジャパン国際でクラスがWH2から変更になった大山廉織が予選リーグで対戦。試合は力強いショットを決めてリードを保った大山が21-7、22-20で勝利した。
大山はWH1の飯塚裕人と組んで男子ダブルスにも出場し、こちらはインドのペアに敗れた。パリパラリンピックでは日本の村山浩・梶原大暉組と、長島理・松本卓巳組の2ペアが銅メダルマッチを争う活躍を見せ、大山と飯塚も現地で試合を見守った。大山は「パラリンピックは強いだけでなく、この競技に打ち込む覚悟がないと立てないステージだと実感した。僕もそれくらいのレベルになりたいと思った」、飯塚も「普段お世話になっている先輩たちがあの大舞台で全力を出し切る姿を見て刺激を受けた。僕らはまだスタートラインに立てていないので、もっと突き詰めていきたいと思った」と振り返り、さらなるスケールアップを誓っていた。
女子SL4の17歳・中村鈴はジャパン国際初出場を果たした。ジュニアスポーツアジア交流会などの出場経験はあるが、公式戦の国際大会は今回がデビュー戦となり、オーストラリアの選手に9-21、7-21で敗れた。
1歳で脳梗塞を発症し、右半身に麻痺が残ったが、中学校は駅伝部に所属、バドミントンは高校進学後に始めた。高校2年でパラバドミントンに転向し、現在は主に福岡市のパラバドミントンクラブ「シャトルワン」で元日本代表の山見誠治さんの指導を受け、強化に励む。初戦は「思ったよりも緊張して、サーブミスなど凡ミスが目立ってしまった」と反省の弁。「今大会は1勝を目指し、大会を通して何かひとつ技術を持って帰れるように頑張りたい」と話し、前を向いた。
また、パリパラリンピックのシングルスで金メダルを獲得した男子WH2の梶原大暉、女子WH1の里見紗李奈にとっては「凱旋試合」となる今大会。予選リーグ初戦はそれぞれストレート勝利をおさめており、梶原は大会2連覇、里見は2大会連続3度目の優勝に向けて好調なスタートを切った。
大会は27日まで行われる。
(取材・文・撮影/荒木美晴)