「第32回全日本障害者ライフル射撃競技選手権大会」が11月9日から2日間にわたり、千葉県総合スポーツセンター射撃場で開催された。10月の世界選手権(オーストラリア・シドニー)に出場した国内トップクラスのシューターを含め、多くの選手が参加した。
世界選手権の10mエアライフル伏射混合SH2で、東京2020パラリンピックの出場枠を獲得し、日本勢内定第1号となった水田光夏(桜美林大)もエントリー。6選手が参加して本戦とファイナルが行われ、水田が優勝を果たした。本戦では633.3点で自己ベストを更新した水田。「毎回自己ベストを更新することが目標。世界選手権ではそれが達成できなかったけれど、今回はクリアできたのでホッとした」と、笑顔を見せていた。
東京パラリンピック日本代表に選ばれるためには、IFが定める基準点(MQS)を来年7月15日までの公認大会で2回以上突破することが条件で、そのうえで出場枠を獲得していくことになる。
そのMQSを突破し、推薦内定に近い位置につけるピストルのエース・山内裕貴(電通デジタル)は、10mエアピストル男子SH1で551点で制した。10発を1シリーズとして計6回、合計60発を撃つなかで、序盤は安定感を見せていたが、中盤の4シリーズで86点とスコアを落とした。「1、2シリーズが良かったので欲が出てしまい、普段は撃たない数字を出してしまった」と山内。それでも、その後は点数を意識するのではなく、正しい姿勢や集中力にフォーカスしなおし、最後の6シリーズは97点と盛り返した。
世界選手権では、2点差でパラリンピック出場枠を取り逃した山内は、ラストチャンスとなる来年5月のワールドカップ(ペルー)に照準をあてる。「東京パラ出場をずっと目標にしてきた。そこで記録を出して狙いに行く」と言葉に力を込めた。
同じくパラ出場を目指す佐々木大輔(モルガン・スタンレー・グループ)は、10mエアライフル伏射混合SH1で628.1点で1位、渡邊裕介(渡辺石灰)は3位だった。渡邊はメイン種目の50mライフル伏射混合SH1で614.8点の日本新記録で優勝を果たした。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)