全豪オープンテニス車いすの部は30日、シングルス準決勝が行われ、男子の国枝慎吾(ユニクロ)がアルフィー・ヒューウェット(イギリス)を6-3、6-3のストレートで下し、2大会ぶりの決勝進出を決めた。また女子の上地結衣(三井住友銀行)は、クオザード・モンジェーヌ(南アフリカ)を6-3、7-5で破り、3年連続で決勝に駒を進めた。
ヒート・ポリシーが適用され試合中断
屋外第8コートの第3試合に組まれていた国枝とヒューウェットの準決勝は、第1ゲームを国枝が5-3とリードしたところでエクストリーム・ヒート・ポリシー(酷暑対策ルール)が適用されて中断。3時間45分後に再開されると、国枝はしっかりと第9ゲームをブレークし、先制した。
第2セットの第1ゲームも国枝がキープ。そこからは互いのサービスゲームをブレークする展開に。サービスのパーセンテージが上がらない国枝だったが、リターンの技術が高いヒューウェットに対し、昨年から磨きをかけてきたストロークでプレッシャーをかけ続けた。終盤にかけますます集中力を上げる国枝は、第8ゲームでバックハンドのリターンエースを取り、王手をかける。最終第9ゲームは国枝のダブルフォルトから始まるが、ここでも壮絶な打ち合いを制し、大きくガッツポーズを作った。
「ヒューウェットはすごく警戒している相手で、ここが山だと思っていた。サービスキープには苦しんだけど、ストロークに関してはベストだった」と、自身のプレーに手ごたえを感じていた様子だった。
決勝では、ゴードン・リード(イギリス)と対戦する。1回戦で第2シードのグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)、準決勝でヨアキム・ジェラード(ベルギー)という強敵を倒してきた相手だが、国枝は「決勝では打ちまくるだけ。冬にそれだけのことをやってきた。しっかり分析して臨みたい」と意気込みを語った。
風と暑さにもしっかり対応
第2試合に組まれた女子準決勝。時折強風で木の葉がコート上を舞い、気温もぐんぐん上がるなか、試合が始まった。「サーフェスが重く感じて、いつもより惰性で動けず、車いすをもうひと漕ぎ、ふた漕ぎしないといけなかった」と上地。モンジェーヌは腕の長さを活かし、高い打点からラケットを巻き込むようなショットを繰り出してくる。風に乗ってそのボールのスピードは増し、「序盤はペースを掴みきれなかった」。
だが、その後は風上では後ろ気味に取っていたポジションを少し前寄りへと意識。風下に居る時もあえてワンバウンドで返球して相手にプレッシャーをかけるなど対応し、粘るモンジェーヌを突き放した。
今大会、女子のベスト4に進んだすべての選手が左利きで、「珍しいパターンですよね」と話す上地。決勝では、1回戦で第1シードのディーダ・デ グロート(オランダ)を破った朱珍珍(中国)にフルセットで勝利したアニク・ファンクート(オランダ)と対戦する。「彼女もファイトする選手。今日の試合みたいに、長くなっても気持ちを入れ替えて自分のプレーをしたい」と話し、前を向いた。
クアードのダブルスはアルコット・ダビッドソン組が優勝!
4人が出場しているクアードはダブルス決勝が行われ、アルコット・ダビッドソン(オーストラリア)組がラプソーン(イギリス)・ワグナー(アメリカ)組を6-4、6-3で破り、優勝した。
男女のダブルスも今日から始まり、女子の上地・ワイリー(イギリス)組はエラーブロック(ドイツ)・モンジェーヌ組を6-1、6-4で下し、決勝進出を決めた。上地は単複でファイナルの舞台に立つ。また、男子の国枝・フェルナンデス(アルゼンチン)組はリード・ヒューウェット組(イギリス)に6(2)-7、6-3、[5-10]で敗れた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)