日本のトップランカーが集う「第23回 NEC全日本選抜車いすテニス選手権大会(NEC JWTA MASTERS)」が11月29日から3日間の日程で、柏市の吉田記念テニス研修センターで開催された。最終日は男子・女子・クアード(四肢まひ)の各クラスの決勝戦が行われ、男子は三木拓也、女子は上地結衣、クアードは川野将太がそれぞれ制した。男子世界ランキング1位の国枝慎吾は、体調不良のため欠場した。
◆男子シングルス決勝
男子シングルス決勝は、長年に渡って日本男子をけん引する齋田悟司と24歳の三木のカード。齋田の緩急をつけたプレー、三木のスピードを活かしたライン際のショットなど、それぞれの持ち味が生きて拮抗した展開になった序盤。その第1セットを6-4で奪った三木は、第2セットも主導権を握り、6-0としてストレートで勝利。嬉しい初優勝を飾った。試合後、三木は「齋田さんという偉大なプレーヤーと戦えて光栄。齋田さんはミスが少ないので、今日は打ち急がないように我慢のプレーを心掛けました。これから1年間精進して、またこの舞台に戻ってきたい」と語った。
◆女子シングルス決勝
女子シングルスは、5連覇中の19歳・上地結衣がベテランの堂森佳南子に6-0、6-2で勝利した。昨年のロンドンパラリンピックではベスト8だったが、高校を卒業した今シーズンはテニスに集中できる環境を整え、積極的に世界ツアーに参戦するようになった。着実に経験を積み、11月にアメリカで行われた世界マスターズでは初出場で単複2冠を達成すると、世界ランキングはシングルス、ダブルスともに3位まで上昇した。世界と戦う力をつけたことに「実感はない。毎試合大丈夫かな、と不安になる」としながらも、「自分の試合の流れを客観的にみられるようになったと思う」と、飛躍の年を振り返った。
◆クアードシングルス決勝
フルセットの大接戦となったのは、川野対平田眞一のクアードの決勝戦。第1セット、2-2で迎えた第5ゲーム以降は互いのサービスゲームを破るブレーク合戦に。最後はタイブレークにまでもつれ込み、まずは川野が奪取した。第2セットは、粘り強いプレーで相手を追い込んだ平田が取り返し、勝負は最終セットに。ここで高い集中力を発揮したのが川野。最初の3ゲームを先取し、流れを一気に引き寄せた。そのままリードを保ち、7-6、5-7、6-1で勝利した。川野は試合後、「平田選手とは同じ福岡で、上を目指しながら、共に練習している仲間。優勝できて嬉しいです。最近はクアードのプレーヤーが増えてきています。日本のクアード界を引っ張っていくつもりで、トレーニングに励みたいと思います」と話した。
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)